褥瘡治療に有効な創洗浄

褥瘡(pressure sores, bed sores and decubitus ulcersとも呼ばれる)とは、自力で体位変換できない高齢者、栄養不良者、急性疾患患者に起こる組織損傷のことである。特定の技術や洗浄液で褥瘡を洗浄することが治療に有効であるというエビデンスは、同定した3件の試験ではいずれにも見られなかった。褥瘡洗浄を調査した研究は非常に少ないので、何らかの確定した結論を導き出すのは不可能である。

著者の結論: 

褥瘡の洗浄についての3件の小規模研究を同定した。1件の研究では、アロエベラ、塩化銀、デシルグルコシド(ブルノプール)含有の生理食塩水をスプレーし創洗浄した場合、等張食塩水で創洗浄した場合に比べて褥瘡治癒に統計的に有意な改善が見られた。またもう1件では、水道水と生理食塩水での洗浄を比較したが、褥瘡治癒には統計的に有意な変化が見られなかった。3件目では偽洗浄と拍動性洗浄を比較し、褥瘡面積において研究期間最終日に、偽洗浄に比べて拍動性洗浄群に有意に大きな縮小が見られた。褥瘡に対する、特定の創洗浄液または技術を支持するエビデンスは、いずれの試験にもないとレビューアは結論付けている。

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背景: 

褥瘡(pressure sores, bed sores and decubitus ulcersとも呼ばれる)とは、自力で体位変換できない高齢者、栄養不良者、急性疾患患者に起こる組織損傷のことである。瘡は保健医療システムにかなりの財政的負担を課し、生活の質に悪影響を与える。創洗浄は褥瘡ケアの重要な要素とみなされている。

目的: 

このシステマティック・レビューは次の疑問に答えようとするものである:創洗浄液および創洗浄法が褥瘡の治癒率に与える効果は何か。

検索方法: 

この3回目の更新のため、Cochrane Wounds Group Specialised Register(検索日2013年1月3日)、Cochrane Central Register of Controlled Trials(CENTRAL)―Cochrane Library2012年第12号、Ovid MEDLINE―2010年から2012年11月第3週まで、Ovid MEDLINE (In-Process & Other Non-Indexed Citations―2012年12月31日)、Ovid EMBASE―2010年から2012年第52週まで、および、EBSCO CINAHL―2010年から2012年12月21日までを検索した。

選択基準: 

創洗浄と非洗浄、異なる創洗浄液または異なる洗浄法を比較しているランダム化比較試験(RCT)で、褥瘡治癒の客観的測定値を報告している場合、選択に適格であるとした。

データ収集と分析: 

2名のレビュー著者が独立してデータを抽出し、話し合いにより不一致を解消した。選択された研究について、構造化された物語風要約を行った。二値アウトカムに対して、相対リスク(RR)と95%信頼区間(CI)を計算した。連続アウトカムに対して、平均差(MD)と95%CIを計算した。同定されたRCTは少数で多様であったのでメタアナリシスは行わなかった。2名のレビュー著者が独立して、Cochrane Collaborationツールを用いて、選択した研究それぞれのバイアスのリスクを評価した。

主な結果: 

更新検索より1件追加された適格である研究を認めたので、1件を除外研究の一覧に追加した。3件の研究(参加者169名)が、本レビューの選択基準に合致した。創洗浄と非洗浄を比較した研究はなかった。異なる創洗浄液を比較した研究が2件あった。等張食塩水(P値= 0.025)で創洗浄した場合に比べて、アロエベラ、塩化銀、デシルグルコシド(Vulnopur)含有の生理食塩水をスプレーし創洗浄した場合、Pressure Sore Status Toolスコアで統計的に有意な改善が見られたが、水道水と生理食塩水(RR 3.00, 95% CI 0.21~41.89)を比較した場合には、褥瘡治癒に何ら統計的に有意な変化はなかった。1件の研究で創洗浄技術を比較しており、偽洗浄と拍動性洗浄(参加者からは見えないように洗面器を褥瘡近くに設置し、洗浄液を受けた)に対しては、3週間の研究期間の最終日に洗浄群において統計的に有意な褥瘡の縮小があった。(MD -6.60, 95% CI-11.23,-1.97)

訳注: 

《実施組織》厚生労働省「「統合医療」に係る情報発信等推進事業」(eJIM:http://www.ejim.ncgg.go.jp/)[2016.07.06]
《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、eJIM事務局までご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。eJIMでは最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。

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