正期産期以降の正常妊娠の女性の分娩誘発

論点

正常な妊娠は女性の最後の月経の開始から約 40 週続き、妊娠37 ~42 週の期間は正期産(正常範囲内) とみなされる。妊娠期間が長くなると、女性や担当の臨床医は、分娩誘発など、分娩に至るための介入を考慮するかもしれない。

重要である理由

妊娠 42 週以降の出産は、より高い死亡の発生(出生前、または出生直後) を含む、児のリスクを高める可能性がある。しかしながら、特に分娩準備が整っていない場合は、分娩誘発も母児へのリスクがある。児が母体内に留まっていた方がよいか、すぐに出産となるよう分娩が誘発されるべきか、どちらが児にとって良いのかを予測できる検査はない。したがって、多くの病院では、妊娠期間はどのくらい継続させるべきなのかという方針を適用する。このアップデート版(2006年に最初に出版され、その後2012年に更新)は、正期産以降の分娩誘発は児へのリスクを減らすことができるかどうかを検討する。

どのようなエビデンスが得られたか?

2017 年 10 月 9 日までのエビデンスを検索をし、12,000 人以上を含む 30 試験を同定した。試験は、ノルウェー、中国、タイ、米国、オーストリア、トルコ、カナダ、英国、インド、チュニジア、フィンランド、スペイン、スウェーデン、オランダで行われた。このエビデンスの質はおおむね中等度だった。試験は、正期産期またはそれ以降(通常妊娠 41 週以降 (> 287 日))の分娩誘発と、自然な陣痛発来を待機、もしくは、分娩誘発開始前のある一定期間待機する方針を比較していた。

正期産期以降も妊娠継続している場合、分娩誘発を行う方針の病院での児の死亡が少ないことが分かった (中等度の質のエビデンス) 。待機と比較して分娩誘発の方が、帝王切開での出産は少なかったが、器械分娩は多かった。待機と比較して、誘発を行ったグループでは、新生児集中治療室入室は少なく、出生5分後のアプガースコア (児の健康状態を評価する簡単なテスト) は低かった (中等度の質のエビデンス) 。正期産期またはそれ以降に分娩誘発を行うか、待機するかという方針について、会陰裂傷や分娩後の出血の発生(低度の質のエビデンス)、入院期間(非常に低度の質のエビデンス)、児の外傷(低度の質のエビデンス)について、明確なはなかった。病院から退院時の母乳育児や、産後うつ、児の脳症 (早期神経機能異常)、や小児の発達については、どの試験にも記載はなかった。

意味するもの

待機的な管理と比較して、分娩誘発の方針は、児の死亡や帝王切開の減少との関連がみられたが、器械分娩は増加していた。児が死亡する可能性は小さいが、適切なカウンセリングを提供することで、正期産期またはそれ以降に分娩誘発を行うか、分娩開始を待機または、分娩誘発を開始するまである一定期間待機することについて、女性のインフォームドチョイスを支援できる。

正期産期またはそれ以降の女性に対し、いつ分娩誘発を行うことが最も良い時期なのかについては、まだ明確でなく、さらなる調査が必要である。リスクの内容と同様に、女性の価値観や希望も考慮すべきである。

訳注: 

《実施組織》増澤祐子、杉山伸子 翻訳[2018.5.27] 《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、コクランジャパンまでご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。   《CD004945》

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