総胆管結石に対する内視鏡下括約筋バルーン拡張術(括約筋形成術)と括約筋切開術の比較

著者の結論: 

結石摘出における内視鏡下バルーン拡張術は内視鏡括約筋切開術よりも成功率がやや低く、膵炎リスクが高かった。しかしながら、内視鏡下バルーン拡張術は、凝固障害のある患者、感染リスクのある患者、またおそらく高齢患者に対して臨床的な役割を有するように思われる。

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背景: 

内視鏡下バルーン拡張術は、オッディ括約筋を温存し括約筋の機能不全による望ましくない影響を避けるために、内視鏡下括約筋切開術に代わるものとして導入された。内視鏡下バルーン拡張術は、ある多施設共同試験において膵炎リスクが上昇したことが指摘されたため、米国の内視鏡専門医によってほとんど放棄されているが、アジアと欧州では依然として使用されている。

目的: 

総胆管結石の管理において内視鏡下バルーン拡張術と内視鏡下括約筋切開術の利益と弊害を比較評価する。

検索方法: 

コクラン・ライブラリにおけるCochrane Hepato-Biliary Group Controlled Trials Register、Cochrane Central Register of Controlled Trials(CENTRAL)、MEDLINEおよびEMBASEを 2004年1月まで検索した。Gastrointestinal Endoscopy(1983年~2002年)をハンドサーチし、レビューに含めたすべてのランダム化臨床試験の書誌事項を通読し、見落としたランダム化試験に関してすべての筆頭著者に問い合わせた。

選択基準: 

発表状況、言語、盲験化に関係なく、総胆管結石摘出における内視鏡下バルーン拡張術と内視鏡下括約筋切開術を比較しているランダム化臨床試験

データ収集と分析: 

研究をレビューに含めるかどうかの決定、データの抽出、品質の評価について、2名のレビューアが別々にデータ収集を行った。解決できない不一致がある場合には3人目のレビューアが最終決定を下した。解析はRevMan Analysisによって行った。

主な結果: 

15件のランダム化試験が本レビューの選択基準を満たした(参加者1768例)。適切なランダム化を報告した試験は半分に満たず、アウトカム評価に盲験化を使用した試験は2件のみであった。 内視鏡下バルーン拡張術は結石摘出の成功率が統計的に低く(相対リスク(RR)0.90、95%信頼区間(CI)0.84~0.97)、機械的砕石術を必要とする割合が高く(RR 1.34、95vCI 1.08~1.66)、膵炎リスクが高かった(RR 1.96、95 CI 1.34~2.89)。逆に、出血の割合は内視鏡下バルーン拡張術のほうが統計的に有意に低かった。固定効果モデルを適応すると、内視鏡下バルーン拡張術は短期感染も長期感染も有意に少ない。死亡率、穿孔、全短期合併症に関しては、統計的有意はなかった。

訳注: 

監  訳: 2006.12.27

実施組織: 厚生労働省委託事業によりMindsが実施した。

ご注意 : この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、Minds事務局までご連絡ください。Mindsでは最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、編集作業に伴うタイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。

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