肝疾患を有する患者における上部消化管出血に対するヒト遺伝子組換え活性化血液凝固第VII因子

著者の結論: 

肝疾患の上部消化管出血患者に対するrHuFVIIa製剤の投与を支持する、あるいは否定するエビデンスは認められなかった。肝疾患患者での上部消化管出血の治療に対するrHuFVIIa製剤の適正な役割を評価するため、さらなる十分な検出力のランダム化臨床試験が必要である。バイアスリスクの低い試験に基づいた結果であるが、異質性および小規模のサンプル・サイズのため、信頼区間がやや広く、本介入には多少の利益または有害性がみられる可能性を否定できなかった。本介入の効果について信頼性の高い結論を得るには、バイアスリスクの低いさらなる試験が必要である。

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背景: 

肝疾患患者での上部消化管出血による死亡率は高い。遺伝子組換えヒト活性化血液凝固第VII因子製剤(rHuFVIIa)の投与が、肝疾患の上部消化管出血患者に対し提案されている。

目的: 

肝疾患の上部消化管出血患者を対象にrHuFVIIa製剤の有益性と有害性を評価すること。

検索方法: 

Cochrane Hepato-Biliary Group Controlled Trials Register(2011年12月)、コクラン・ライブラリ(2011年第4号)のCochrane Central Register of Controlled Trials(CENTRAL)、MEDLINE(1948~2011年12月)、EMBASE(1980~2011年12月)、Science Citation Index Expanded(1900~2011年12月)およびLILACS(2011年12月)を検索した。電子的検索から同定した試験とレビューの参考文献リストからその後追加されたランダム化試験を探索した。

選択基準: 

ランダム化臨床試験

データ収集と分析: 

ランダム化臨床試験からのアウトカムデータを抽出し、ランダム効果モデルメタアナリシスを用いて提示した。選択した試験でのバイアスリスクに関するデータも抽出した。

主な結果: 

様々なChild-Pughスコアの参加者493例をランダム化した2件の試験を選択した。当該試験バイアスリスクは低かった。rHuFVIIa製剤の投与により、プラセボに比べて、5日以内の死亡リスク[21/288例(7.3%)対15/205例(7.3%);リスク比(RR)0.88、95%信頼区間(CI)0.48~1.64、I2 = 49%]および42日以内の死亡リスク[5/286例(1.7%)対36/205例(17.6%);RR 1.01、95%CI 0.55~1.87、I2 = 55%]は低下しなかった。試験の逐次解析により、rHuFVIIaは死亡率を80%低下させる可能性を排除する十分なエビデンスがみられたが、それよりは低い効果を排除するほどの十分なエビデンスはみられなかった。rHuFVIIaはプラセボに比べて、患者数による有害事象リスク[218/297例(74%)対164/210例(78%);RR 0.94、95%CI 0.84~1.04、I2 = 1%]、報告された有害事象による重篤な有害事象リスク[164/590例(28%)対123/443例(28%);RR 0.91、95%CI 0.75~1.11、I2 = 0%]、および血栓塞栓有害事象リスク[16/297例(5.4%)対14/210例(6.7%);RR 0.80、95%CI 0.40~1.60、I2 = 0%]の増加を示さなかった。

訳注: 

監  訳: 吉田 雅博,2012.7.24

実施組織: 厚生労働省委託事業によりMindsが実施した。

ご注意 : この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、Minds事務局までご連絡ください。Mindsでは最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、編集作業に伴うタイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。

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