小児の抗菌薬による下痢の予防を目的としたプロバイオティクス

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抗菌薬による下痢とは?

抗菌薬による下痢(AAD)は、抗菌薬が腸管内の「善玉菌」と「悪玉菌」の自然なバランスを乱し、有害細菌が通常の数を超えて増殖することによって生じる。AADの症状には、水っぽい排便の頻発や急激な腹痛などがある。

プロバイオティクスとは?

プロバイオティクスは有益と考えられる細菌や酵母で、栄養補助食品やヨーグルトなどに含まれる。プロバイオティクスは腸管内の自然な細菌バランスを回復させる可能性がある。

研究者が調べたことは?

研究者は、プロバイオティクスが抗菌薬を投与された小児のAADを予防するのか、有害性(副作用)はあるのかについて調べた。2014年11月24日までの医学文献を広範囲に調べた。

研究でわかったことは?

23件の研究についてレビューし、入手した最良のエビデンスを記載する。研究では3938例の小児(週齢2週~17歳)を対象とし、AADを予防するためにプロバイオティクスと抗菌薬を併用した。参加者をプロバイオティクス群(Lactobacilli spp.、Bifidobacterium spp.、Streptococcus spp、Saccharomyces boulardiiの単独使用または併用)、プラセボ群(プロバイオティクスを含まない錠剤)、AADを予防すると考えられる他の治療群(ジオスメクタイト、乳児用調製粉乳)、または無治療群に分けた。(ジオスメクタイト、乳児用調製粉乳)、または無治療群に分けた。研究は1~12週間の短期的なものであった。解析により、プロバイオティクスはAADの予防に有効である可能性が示された。AADの発生率はプロバイオティクス群で8%(163/1992)であったのに対し、コントロール群では19%(364/1906)であった。プロバイオティクスの忍容性は概して良好で、軽微な副作用がまれに生じるが、プロバイオティクス群とコントロール群に有意はなかった。副作用の大半はプラセボ群、標準治療群、無治療群で報告された。研究で報告された副作用は発疹、悪心、ガス、鼓腸、腹部膨満、腹痛、嘔吐、痰の増加、胸痛、便秘、味覚障害、食欲不振などである。さまざまなプロバイオティクスの評価では、50~400億コロニー形成単位/日のLactobacillus rhamnosusまたはSaccharomyces boulardiiが、抗菌薬を投与された小児のAAD予防に適切であると考えられる。AADの予防に対する他のプロバイオティクスの有効性と安全性について結論を出すには時期尚早である。プロバイオティクスによる重篤な副作用は研究に参加した健常児では認められなかったが、中心静脈カテーテル(薬の投与に用いる柔軟なチューブ)の使用や細菌/真菌移行(細菌が消化管から体の他の部位へ移動すること)による疾患など、リスク因子がある衰弱の激しい小児や免疫不全の小児では、重篤な副作用が認められた。さらなる研究が実施されるまで、副作用のリスクがある小児ではプロバイオティクスの使用を控えるべきである。

著者の結論: 

中等度の質のエビデンスでは、AADに対するプロバイオティクスの予防効果を示唆している。我々がプールした推定値ではプロバイオティクスの明確な効果を示唆している(RR 0.46、95% CI 0.35~0.61、NNT 10)。さまざまなプロバイオティクスの評価では、適度なNNTと有害事象可能性が極めてまれであることをふまえ、50~400億コロニー形成単位/日のLactobacillus rhamnosusまたはSaccharomyces boulardiiが適切であると考えられる。小児のAADに対する他のプロバイオティクスの有効性と安全性について結論を出すには時期尚早である。重篤な有害事象は健常児では認められなかったが、中心静脈カテーテルの使用や細菌/真菌移行による疾患など、リスク因子がある衰弱の激しい小児や免疫不全の小児では、重篤な有害事象が認められた。さらなる研究が実施されるまで、有害事象のリスクがある小児ではプロバイオティクスの使用を控えるべきである。今後の試験では、AADを調べるための標準的で有効なアウトカムが有益であると考えられる。

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背景: 

抗菌薬は小児によく処方される。消化管内の微生物バランスを変えてしまうため、抗菌薬による下痢(AAD)起こすことが多い。プロバイオティクスは消化管の微生物叢を回復させ、AADを予防する可能性がある。

目的: 

主な目的は、小児のAAD予防におけるプロバイオティクス(特定の菌株や用量)の有効性と安全性を評価することである。

検索方法: 

MEDLINE、EMBASE、CENTRAL、CINAHL、AMED、Web of Science(開始~2014年11月)を検索し、Cochrane IBD/FBDレビューグループ、CISCOM(Centralized Information Service for Complementary Medicine)、英国国民保健サービスエビデンス、International Bibliographic Information on Dietary Supplementsなど専門分野別の登録試験登録を調べた。選択した試験の著者、栄養補助食品会社や製薬会社、および当該分野の専門家に手紙を送り、継続中や未発表の試験に関する追加情報を要請した。会議の議事録、論文の抄録、および関連性のある論文の参考文献リストも調べた。

選択基準: 

小児(0~18歳)に抗菌薬を投与し、プロバイオティクスとプラセボ、別の予防薬(実薬)、または無治療を比較し、抗菌薬の使用に続発する下痢の発生率を調べたランダム化並行対照試験を選択した。

データ収集と分析: 

2名の著者がそれぞれ試験を選択し、データを抽出し、バイアスのリスクを調べることによって方法論的な質を評価した。二値データ(下痢の発生率、有害事象)はプールしたリスク比(RR)またはリスク(RD)を用いて統合し、連続データ(下痢の平均期間、1日の平均排便回数)は平均差(MD)として示し、それぞれ95%信頼区間(95% CI)を付した。下痢の発生率をプールした全体的な結果について、感度解析では利用可能な症例と極端な場合を比較する妥当性の解析や、ランダム効果モデルと固定効果モデルの比較を行った。異質性について考えられる原因を探すため、プロバイオティクス菌株、用量、抗菌薬による下痢の定義、バイアスのリスクについて事前サブグループ解析を実施した。また、診断、単一菌株と複数菌株の比較、業界の資金提供、入院患者の有無について事後サブグループ解析を実施した。アウトカムに関するエビデンスの全般的な質は、GRADE基準を用いて評価した。

主な結果: 

23件の研究(3938例)が選択基準を満たした。試験治療では、Bacillus spp.、Bifidobacterium spp.、Clostridium butyricum、Lactobacilli spp.、Lactococcus spp.、Leuconostoc cremoris、Saccharomyces spp.、Streptococcus spp.を単独使用または併用した。11件の研究では単一のプロバイオティクス菌株を使用し、4件が2種を併用、3件が3種を併用、1件が4種を併用、2件が7種を併用、1件が10種を併用し、1件が3種の併用と2種の併用の2群について調べた。バイアスのリスクについて13件の研究を高いまたは不明、10件を低いと判定した。23件中22件の試験で下痢の発生率について報告しており、利用可能な症例(研究を完了しなかった患者は解析対象から除外した)の結果では、実薬、プラセボ、無治療のコントロールと比較して、プロバイオティクスの明確な利益が示されている。AADの発生率はプロバイオティクス群が8%(163/1992)であったのに対し、コントロール群では19%(364/1906)であった(RR 0.46、95% CI 0.35~0.61、I2 = 55%、3898例)。GRADE解析により、本アウトカムに対する全般的なエビデンスの質は中等度であることが示唆された。この利益は、極端な可能性(プロバイオティクス群では追跡不能となった小児のうち60%に、コントロール群では同様の小児の20%に下痢がみられた)についての感度分析でも統計学的に有意であり、AADの発生率はプロバイオティクス群が14%(330/2294)であったのに対し、コントロール群では19%(426/2235)であった(RR 0.69、95% CI 0.54 ~0.89、I2 = 63%、4529例)。有害事象を報告した16件の試験(n = 2455)のうち、プロバイオティクスに起因する重篤な有害事象を記録した試験はなかった。メタアナリシスでは、治療群とコントロール群の有害事象における極めてわずかな有意ではない以外を除外した(RD 0.00、95% CI -0.01~0.01)。有害事象の大半はプラセボ群、標準治療群、無治療群で生じた。研究で報告された有害事象は発疹、悪心、ガス、鼓腸、腹部膨満、腹痛、嘔吐、痰の増加、胸痛、便秘、味覚障害、食欲不振などであった。

訳注: 

《実施組織》厚生労働省「「統合医療」に係る情報発信等推進事業」(eJIM:http://www.ejim.ncgg.go.jp/)[2018.2.25]
《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、eJIM事務局までご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。eJIMでは最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。 
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