成人の原発性高血圧症管理のためのカルシウム補充

本レビューでは、カルシウムの服用が成人の高血圧を低下させることを示す確固たるエビデンスはなかった。カルシウム補充とプラセボまたは無治療を比較し、8~15週後に血圧を測定した13件の試験(485例を登録)についてレビューした。概して、カルシウム補充群では、試験終了時に収縮期血圧がわずかに低下した。しかし、大半の試験は質が低かったため、結果を信頼できないと考えられる。試験が小規模かつ短期であったため、カルシウム補充が死亡、心臓発作、脳卒中のリスクを低下させるのかについては判断できなかった。プラセボと同様にカルシウムの有害作用は概してみられなかった。カルシウム補充が高血圧を低下させるのかを明らかにするには、大規模で長期にわたる質の高い試験が必要である。

著者の結論: 

選択した試験の質が低く、試験間の異質性があるため、カルシウム補充と血圧低下の因果関係を支持するエビデンスは弱いが、おそらくバイアスによると考えられる。これは、質の低い研究で、全般的に治療効果を過大評価する傾向がみられるためである。血圧や心血管系アウトカムに対するカルシウム補充の効果を評価するには、大規模で長期にわたる質の高い二重盲検プラセボ対照試験が必要である。

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背景: 

代謝研究では、カルシウムが血圧調節に関与する可能性を示唆している。複数の疫学研究により、カルシウムの摂取量が多い人は血圧が低い傾向にあると報告された。過去のシステマティックレビューやメタアナリシスでは、カルシウムの服用が血圧を下げるのかについて、一定の結論には達していない。

目的: 

原発性高血圧の成人に対する治療としてカルシウム服用の効果を評価すること。

検索方法: 

コクラン・ライブラリ、MEDLINE、EMBASE、Science Citation Index、ISI Proceedings、ClinicalTrials.gov、Current Controlled Trials、。CABの妙録、および本レビューで選択したシステマティックレビュー、メタアナリシス、ランダム化比較試験(RCT)の参考文献リストを検索した

選択基準: 

選択基準は以下のとおりであった。1)カルシウムの服用とプラセボ、無治療、または通常治療を比較したRCT。2)治療と8週間以上の追跡調査。3)参加者は19歳以上で収縮期血圧(SBP)が140 mmHg以上または拡張期血圧(DBP)が85 mmHg以上。4)追跡調査終了時にSBPとDBPを報告した。妊婦や、研究期間中に降圧薬を変更した参加者を対象とした試験、およびカルシウム補充と他の介入を併用した試験は除外した。

データ収集と分析: 

2名のレビューアがそれぞれデータを抽出し、試験の質を評価した。2名の協議もしくは3人目のレビューアにより、相違を解消した。ランダム効果メタアナリシスおよび感度解析を実施した。

主な結果: 

8~15週間の追跡調査を伴う13件のRCT(n=485)を選択した。各試験の結果には異質性があった。すべての試験を統合したところ、コントロール群と比較してカルシウム補充群ではSBPが統計学的に有意に低下したが(平均差:-2.5 mmHg、95% CI:-4.5 ~ -0.6、I2 = 42%)、DBPは低下しなかった(平均差:-0.8 mmHg、95% CI:-2.1 ~ 0.4、I2 = 48%)。サブグループ解析では、試験間の異質性はカルシウムの用量やベースラインの血圧では説明できないことが示唆された。質の低い試験を除外すると、異質性が減少した。適切な割付けの隠蔽化を報告した1件の試験、および適切なブラインド化(盲検化)を報告した1件の試験では、主要なメタアナリシスと一致する結果が出た。

訳注: 

《実施組織》厚生労働省「「統合医療」に係る情報発信等推進事業」(eJIM:http://www.ejim.ncgg.go.jp/)[2018.2.3]
《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、eJIM事務局までご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。eJIMでは最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。 
CD004639 Pub2

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