末梢神経の疾患に対するビタミンB

末梢神経障害は、糖尿病やアルコール依存症などさまざまな原因による末梢神経の疾患で、痛み、しびれ、四肢の脱力などを引き起こす。ビタミンBは末梢神経障害の治療によく用いられるが、効果があるのかは不明である。本レビューでは、糖尿病やアルコール性末梢神経障害の参加者計741例を対象とした13件の試験のうち、1件の研究のみで、ベンフォチアミン(ビタミンB1の誘導体)による8週間の治療において、プラセボと比較して振動覚閾値がやや改善し、短期的な利益の可能性が示唆された。別の研究では、高用量のビタミンB複合体を4週間投与したところ、低用量よりも痛みなどの臨床症状の減少に有効であった。2~8週にわたりビタミンBを投与したところ、臨床所見や神経学的検査結果の短期的な改善について、αリポ酸、シロスタゾール、シチジン三リン酸よりも有効性が低かった。これらすべての知見を確定的と認めるには、より大規模な研究で確認する必要がある。ビタミンBの忍容性は概して良好であるが、軽度の副作用がわずかに報告されている。

著者の結論: 

末梢神経障害の治療におけるビタミンBの有効性を調べたランダム化試験は限定的なデータのみで、ビタミンBの有効性や有害性について判断するにはエビデンスが不十分である。アルコール性末梢神経障害に関する1件の小規模試験では、8週間のベンフォチアミン経口投与により、プラセボと比較して振動覚閾値がやや改善したことを報告した。別の小規模研究では、4週間の高用量ビタミンB複合体の経口投与が、低用量よりも症状や徴候の減少に有効であった。2~8週にわたりビタミンBをさまざまな経路で投与した場合、臨床アウトカムや神経伝導アウトカムの短期的な改善について、αリポ酸、シロスタゾール、シチジン三リン酸よりも有効性が低かった。ビタミンBの忍容性は概して良好であった。

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背景: 

ビタミンBは末梢神経障害の治療によく用いられるが、その有効性は不明である。

目的: 

本レビューの目的は、全身性末梢神経障害の治療におけるビタミンBの効果を評価することである。

検索方法: 

Cochrane Neuromuscular Disease Group Trials Register(2005年8月に検索)、MEDLINE(1966年1月~2005年9月)、EMBASE(1980年1月~2005年9月)、フィリピンのデータベース(2005年9月に検索)、および論文の参考文献リストを検索した。また、当該分野の製造業者や研究者に連絡を取った。

選択基準: 

全身性末梢神経障害について、ビタミンBとプラセボまたは他の治療を比較したランダム化・準ランダム化試験

データ収集と分析: 

2名の著者がそれぞれ試験の質を評価し、データを抽出した。追加情報を入手するため、研究の著者に連絡を取った。

主な結果: 

アルコール性または糖尿病性神経障害の参加者741例を対象とした13件の研究を選択した。ビタミンBとプラセボの比較では、疼痛強度について2件の小規模試験で有意な短期的利益はみられなかったが、このうち1件の試験では、チアミンの誘導体であるベンフォチアミンの経口投与により、振動検出でわずかに有意な利益が認められた。ビタミンB複合体の異なる用量を比較した2件の大規模試験では、高用量において、疼痛の有意な短期的減少、知覚障害の改善、疼痛・体温・振動の複合アウトカム、および疼痛・しびれ・知覚障害の複合アウトカムの改善を示す複数のエビデンスがあった。臨床アウトカムや神経伝導アウトカムの短期的な改善について、ビタミンBの有効性はαリポ酸、シロスタゾール、シチジン三リン酸よりも低いことを示す複数のエビデンスがあったが、試験は小規模であった。軽度の有害作用がわずかに報告された。

訳注: 

《実施組織》厚生労働省「「統合医療」に係る情報発信等推進事業」(eJIM:http://www.ejim.ncgg.go.jp/)[2018.2.3]
《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、eJIM事務局までご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。eJIMでは最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。 
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