狭心症に対する速效救心丸(漢方薬)

狭心症は胸部の痛みや不快感を伴う疾患で、通常は労作または不安感が引き金となる。狭心症は心臓発作、心停止または心臓突然死のリスクが高まっているサインでもある。症状をコントロールし、心臓発作などの心血管イベントを予防することが狭心症治療の目的となる。通常医療では通常、β遮断薬、カルシウム拮抗薬および硝酸塩(ニトログリセリン)を投与する。中国では、速效救心丸はこうした西洋の医薬品との併用で広く使用されている。本レビューでは、エビデンスは弱いものの速效救心丸を単独または他の抗狭心症薬と併用投与した場合、狭心症の症状を緩和させることが示された。しかし、試験の質が低かったため、速效救心丸の位置づけは明確ではなく、その効果を評価するためには質の高い長期試験の実施が求められる。

著者の結論: 

速效救心丸は狭心症治療に有効であると考えられ、また重篤な副作用は認められなかった。しかし、レビュー対象とした試験の方法論的な質が乏しく、エビデンスとしては依然弱いままである。

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背景: 

速效救心丸 (Suxiao jiuxin wan)は、中国で広く用いられている狭心症治療薬である。

目的: 

本レビューの目的は、狭心症治療における速效救心丸の効果(有益性および有害性)を明らかにすることである。

検索方法: 

コクラン・ライブラリのCochrane Central Register of Controlled Trials(2005年第4号)、Medline (1995~2005年)、EMBASE (1995~2005年)、Chinese Cochrane Centre によるRegister of Chinese trials(2006年まで)およびChinese Biomedical Database (1995~2005年)を検索した。また、中国のジャーナル83誌をハンドサーチした。参考文献リスト、現在進行中の試験データベースおよびインターネットも検索した。最終検索日:2005年11月

選択基準: 

狭心症患者を対象として速效救心丸を標準治療と比較したランダム化比較試験(RCT)。治療期間が4週間を超える試験を選択した。

データ収集と分析: 

2名のレビューアが独立して選択基準と照らし合わせ、試験の質を評価し、データを抽出した。

主な結果: 

1776例を対象とした15試験が該当した。速效救心丸をニトログリセリン(xiaoxintong)と比較した場合、心電図検査の測定値改善(RR 1.16、95%CI 1.05~1.27)、症状の軽減(RR 1.09、95%CI 1.04~1.13)、狭心症による急性発作頻度の減少(平均差 -0.70、95%CI -0.90~-0.50)、拡張期圧の低下(平均差 -3 mmHg、95%CI -5.73~-0.27)およびニトログリセリン補助薬の投与が減少した(平均差 -0.60、95%CI -0.94~-0.26)。ただし、エビデンスとしては弱かった。速效救心丸を丹参(danshen)と比較した場合、症状の軽減(RR 1.21、95%CI 1.11~1.31)および心電図検査の測定値改善(RR 1.55、95%CI 1.30~1.84)が認められた。ただし、こちらもエビデンスとしては弱かった。速效救心丸を硝酸イソソルビド(xiaosuanyishanlizhi)と比較した場合は、心電図検査の測定値改善(RR 1.34、95%CI 0.91~1.98)および症状の改善(RR 1.11、95%CI 0.86~1.43)ともに有意なは認められなかった。

訳注: 

《実施組織》厚生労働省「「統合医療」に係る情報発信等推進事業」(eJIM:http://www.ejim.ncgg.go.jp/)[2015.12.30]
《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、eJIM事務局までご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。eJIMでは最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。

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