高血圧薬物療法の夕投与レジメンと朝投与レジメンとの比較

著者の結論: 

臨床的に関連性のあるアウトカム指標である、総死亡(率)、心血管系罹病率および死亡率を報告しているRCTはなかった。夕投与レジメンと朝投与レジメンとの間で、総有害事象および有害事象による中止に有意差はなかった。降圧の有効性という点では、24時間のSBPおよびDBPにおいて、降圧薬の朝投与より就寝時投与の方が血圧コントロールが良好であると示唆されたが、この臨床的意義は不明である。

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背景: 

血圧値の変動は概日リズムを示す。血圧の朝の急激な上昇は、起床後の最初の数時間内の心筋イベントリスクを上昇することが知られている。原発性高血圧患者の管理における、降圧薬の夕投与レジメンと朝投与レジメンとを比較した、投与時間関連効果に関するシステマティック・レビューは実施されていない。

目的: 

原発性高血圧患者を対象に、総死亡(率)、心血管系罹病率、血圧低下に対する降圧薬の1日1回晩単独投与と1日1回朝単独投与の比較による投与時間関連効果を検討すること。

検索方法: 

Cochrane CENTRAL on Ovid(2009年第4四半期)、Ovid MEDLINE(1950年~2009年10月)、EMBASE(1974年~2009年10月)、Chinese Biomedical literature database(1978年~2009年)、関連性のある論文の参考文献リストを検索した。言語による制約は設けなかった。

選択基準: 

原発性高血圧患者を対象に、夕投与単独療法レジメンと朝投与単独療法レジメンとの投与時間関連効果を比較しているランダム化比較対照試験(RCT)を選択した。既知の二次性高血圧患者、交代性勤務者、白衣高血圧患者は除外した。

データ収集と分析: 

2名のレビューアが別々にデータを抽出し試験の質を評価した。不一致は協議または第三のレビューアにより解決した。データ統合と解析はRevMan 5.1を用いて行った。ランダム効果メタアナリシスと感度分析を実施した。

主な結果: 

原発性高血圧患者1,993例を対象とした21件のRCTが本レビューの選択基準を満たした。降圧薬は、ACEI(5試験)、CCB(7試験)、ARB(6試験)、利尿薬(2試験)、アルファ遮断薬(1試験)、ベータ遮断薬(1試験)であった。メタアナリシスにより、著しい異質性が試験間に認められた。 総死亡(率)、心血管系死亡率、心血管系罹病率、重篤な有害事象について報告しているRCTはなかった。 総有害事象(RR = 0.78、95%CI 0.37~1.65)および有害事象による中止(RR=0.53、95%CI 0.26~1.07)に統計学的有意差はなかった。 朝の収縮期血圧(SBP)(-1.62 mmHg、95%CI -4.19~0.95)、朝の拡張期血圧(DBP)(-1.21 mmHg、95%CI -3.28~0.86)に有意差はなかったが、24時間の血圧(SBP:-1.71 mmHg、95%CI -2.78~-0.65;DBP:-1.38 mmHg、95%CI -2.13~-0.62)は統計学的有意差を示した。

訳注: 

監  訳: 相原 智之,2012.2.7

実施組織: 厚生労働省委託事業によりMindsが実施した。

ご注意 : この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、Minds事務局までご連絡ください。Mindsでは最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、編集作業に伴うタイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。

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