滲出性中耳炎の早期治療のために生後4年以内の小児の特定

著者の結論: 

同定したランダム化試験から、滲出性中耳炎に対して生後4年以内に症状のない一般小児集団をスクリーニングした結果、言語発達および行動へのスクリーニングからの重要な利益は示されていない。しかし、これらの試験はいずれも先進国で行われたものであった。先進国では小児が良好な栄養および生活状態を享受しており、感染症の重症度も低く、感染症も異なることから、得られたエビデンスは発展途上国の小児には適用できないかもしれない。これらの研究の幾つかのスクリーニングは、主にスクリーニング・プログラムの効果を評価するというよりもむしろ治療効果を評価するために適した小児を特定することを目的としていた。実際的な状況で治療が提供される小児と比較して、年齢が低い小児および軽度の疾患の小児がこれらの治療試験に含まれていた可能性がある。

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背景: 

本レビューは、コクラン・ライブラリ2003年第2号に最初に発表され、その後、2006年に改訂されたコクラン・レビューをさらに改訂したものである。滲出性中耳炎は小児期の後天性聴覚障害の最も一般的な原因であり、言語発達遅延および行動上の問題との関連性がいわれている。小児のスクリーニングを行い、臨床的に重要な滲出性中耳炎が判明した場合には、早期に治療すべきであるとの主張がある。しかし、滲出液の自然消失率は高く、小児によっては滲出液が聴覚を著しく低下させることもなく、また言語発達や行動に負の影響を与えない場合もある。

目的: 

本レビューは、臨床的に重要な滲出性中耳炎の患児の生後4年以内のスクリーニング治療が言語と行動のアウトカムに与える効果を検討しているランダム化比較試験からのエビデンスを評価することを目的とした。

検索方法: 

Cochrane Ear, Nose and Throat Disorders Group Trials Register、Cochrane Central Register of Controlled Trials(CENTRAL)、PubMed、EMBASE、ならびに発表済み・未発表の試験の追加的な情報源を検索した。最新検索日は2009年6月30日であり、先の改訂時の検索は2006年1月、最初の検索は2002年2月であった。

選択基準: 

1.スクリーニングで見いだされた滲出性中耳炎の患児を対象に滲出性中耳炎に対する介入を評価しているランダム化比較試験。2.滲出性中耳炎のスクリーニングランダム化された小児のアウトカムと、滲出性中耳炎のスクリーニングランダム化されなかった小児のアウトカムとの比較。

データ収集と分析: 

4名のレビューアが独自にデータを抽出し、試験の質を評価した;うち2名が最初のレビュー、他の2名が改訂をレビューした。

主な結果: 

滲出性中耳炎のスクリーニングランダム化された小児のアウトカムと、滲出性中耳炎のスクリーニングランダム化されなかった小児のアウトカムとを比較している試験は同定されなかった。スクリーニングで滲出性中耳炎が見いだされた小児を対象に滲出性中耳炎に対する介入を評価している3件の試験(参加者668例)を同定した。そのうちの1件の試験から、5件の発表済みの研究があった。これらは、治療プログラムに関する試験というよりもむしろスクリーニングで見いだされた小児の治療に関する試験であった。これらの試験から、臨床的に重要な滲出性中耳炎の小児のスクリーニングおよび治療からの臨床的に重要な言語発達への利益に関するエビデンスは見いだせなかった。

訳注: 

監  訳: 尹 忠秀,2010.4.15

実施組織: 厚生労働省委託事業によりMindsが実施した。

ご注意 : この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、Minds事務局までご連絡ください。Mindsでは最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、編集作業に伴うタイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。

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