統合失調症または統合失調症様疾患に対する芸術療法

統合失調症または統合失調症様疾患の殆どが投薬を受け、平均ではあるが、5~15%では投薬にもかかわらず症状が持続する。本レビューでは、創造療法の1つである芸術療法について薬物療法と併用した際に有用か探索する。英国アートセラピスト協会(British Association of Art Therapists)による芸術療法の定義は「訓練を受けた芸術療法士がいる場所で自己の表現および反映に芸術的素材を用いる方法である。芸術療法を紹介された受診者は美術の経験やスキルを持ち合わせている必要性はなく、また芸術療法士は受診者のイメージに対する外観的または診断評価に主には関与していない。芸術療法士は、安全で効果を促進する環境での芸術的素材の使用を通じて、受診者が個人レベルでの変化や成長の達成を可能にすることを全体的な目的とするものである」と説明されている。どのぐらい広く介入法を使用することができるのか推定することは困難であることが示された。しかし、個別やグループ、入院や外来の状況、また民間医療機関における統合失調症患者での使用に関する記載が認められる。

残念なことに、統合失調症患者に芸術療法を用いたランダム化比較試験で特定されたのは2件のみであった。いずれの研究も 有意義な結果を得るには研究参加者数が充分ではなく、またこれらの研究から芸術療法の有用性または有害性について明確な結論を導くことは不可能であった。統合失調症患者や統合失調症様疾患患者での芸術療法の価値を確認するには更に研究が必要である。

著者の結論: 

この領域ではランダム研究は可能である。重度の精神障害に対する芸術療法の使用について は、その有用性または有害性が不明であることから、さらに評価する必要がある。

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背景: 

統合失調症または統合失調症様疾患を持つ多くの患者は、投薬にもかかわらず、症状が持続する。薬剤のほか、芸術療法などの創造療法が助けとなる可能性がある。芸術療法は、治療関係を介して、芸術的な素材を用いて患者の内面世界を脅かさない方法で探索を可能にする方法である。主に成人精神科病棟入院患者で開発され、言葉による精神療法が不可能な患者に使用するデザインであった。

目的: 

統合失調症の追加的な治療法としての芸術療法の効果について、標準療法や他の心理社会的治療法と比較しレビューすることである。

検索方法: 

Cochrane Schizophrenia Group's Register(2005年2月)の検索を更新し、参考文献一覧および「Inscape」(the Journal of the British Association of Art Therapists)のハンドサーチを行い、関連のある著者に連絡を取った。

選択基準: 

芸術療法について統合失調症に対する標準療法または他の心理社会的治療法と比較したランダム化比較試験すべてを対象とした。

データ収集と分析: 

確実な方法で選択し、品質評価した上で研究からデータを抽出した。研究参加者の50%以上で追跡不能となった研究群のあるデータは除外した。継続的なアウトカム について、重み付け平均差およびその95%信頼区間を求めた。二値アウトカムについては、固定効果リスク比(RR)、その95%信頼区間(CI)および治療必要症例数(NNT)を求めた。

主な結果: 

検索の結果から61件の報告が特定されたが、選択基準を満たした研究(全体で137名)は2件のみであった。 いずれの試験も芸術療法と標準療法の併用と標準療法単独とを比較した。芸術療法群に割り付けられた場合、標準療法と比較し、短期的(n=90、RCT:1件、RR:0.97、CI:0.41~2.29)、中期的(n=47、 RCT:1件、RR:0.34、CI:0.15~0.80)および長期的(n=47、 RCT:1件、RR:0.96、CI:0.57~1.60)期間でより多くの患者が治療を終了した。 1件の精神状態尺度(SANS)から得られたデータ により、芸術療法群を裏付ける小さいが有意な示された(n=73、 RCT:1件、WMD:-2.3、CI:-4.10~-0.5).短期間では、社会的機能(SFS)尺度ではエンドポイントのスコア(n=70、 RCT:1件、WMD:7.20、CI: -2.53~16.93)からは明確な群間は示されず、またPerQoLで測定した生活の質では芸術療法の有効性を示さなかった(n=74、 RCT:1件、WMD:0.1、CI:-2.7~0.47)。

訳注: 

《実施組織》厚生労働省「「統合医療」に係る情報発信等推進事業」(eJIM:http://www.ejim.ncgg.go.jp/)[2018.1.19]
《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、eJIM事務局までご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。eJIMでは最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。 
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