急性脳卒中に対する鍼治療

レビューの論点

脳血栓または脳出血による脳卒中後のリハビリ中の人に対する鍼治療の効果と安全性を評価する。

背景

脳卒中は高い罹患率と死亡率の深刻な疾患である。鍼治療は、中医学において主要の理学療法であり、中国では何百年に渡り脳卒中の治療に広く用いられているが、脳卒中のリハビリに対する効果のエビデンスに一貫性がない。

試験の特性

2017年2月までのChinese Clinical Trial Registryの電子データ版および、2017年4月までの2つの臨床試験プラットフォーム(WHO国際臨床試験登録プラットフォームとClinicaltrials.gov)を調査した。3946例の参加者を対象とした33件のランダム化比較試験を本レビューの対象とした。この中で、鍼治療と他の対照を比較した利用可能な結果は22件(参加者2865例)に上ったが、6件(参加者668例)のみが鍼治療と偽鍼法とを比較していた。

主要な結果

鍼治療と様々な対照を比較した数々の臨床試験にみられるように、死亡率または日常生活に介助を要する状態の減少または追跡調査終了時の神経系および運動機能評価スコアの向上に関する鍼治療の効果は、鍼治療とより信頼性の高い偽鍼の対照とを比較した臨床試験では確認されなかった。疼痛、めまい、失神、などの有害事象が参加者の6.2%(64/1037)に報告され、そのうちの1.4%(14)は鍼治療を中断しなければならなかった。

エビデンスの質

対象とした研究および鍼治療の種類と継続期間の変数にバイアスのリスクがあるため、エビデンスの質は低い、または非常に低かった。急性脳卒中に対する鍼治療の効果への信頼性を高めるために、引き続き大規模で信頼性の高い臨床試験が必要である。

訳注: 

《実施組織》厚生労働省「「統合医療」に係る情報発信等推進事業」(eJIM:http://www.ejim.ncgg.go.jp/)[2018.12.25] 《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、eJIM事務局までご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。eJIMでは最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。 【CD003317.pub3】

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