早産児慢性肺疾患の予防および治療に対する気管支拡張薬

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早産児における慢性肺疾患(CLD)に対する気管支拡張薬の効果を示すエビデンスは不十分であった。 CLDは在胎34週未満の出生児でよくみられる。気管支拡張薬は、肺における空気の通り道を広げる薬である。早産児の末梢気道を拡張する効果があると考えられるため、CLDに用いられている。気管支拡張薬は、経口(パファー)、加圧エアゾルによるネブライザーで吸入されるか、または注射により投与される。試験についての本レビューでは、CLDに対し気管支拡張薬が有効または無効かのいずれかを示すエビデンスは不十分であった。さらなる研究が必要である。

著者の結論: 

CLD予防に対するサルブタモールの使用を確実に評価するデータは不十分であった。CLDの予防または治療におけるサルブタモールまたは他の気管支拡張薬の役割を評価するさらなる臨床試験が必要である。早産児での気管支拡張薬の効果研究している研究者は、肺機能アウトカムに加えて、関連性のある臨床アウトカムを含めるべきである。

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背景: 

慢性肺疾患(CLD)は早産児に発症することが多い。気管支拡張薬には、筋肥大を伴って末梢気道を拡張する効果があると考えられている。CLD患児の肺機能の研究において、コンプライアンスと1回呼吸気量の増加、および肺血管抵抗の減少が気管支拡張薬の使用に伴って記録されている。したがって、CLDの予防と治療において気管支拡張薬が何らかの役割を担う可能性がある。

目的: 

CLDリスクのある早産児またはCLDを有す早産児を対象に、CLDの予防または治療として投与した気管支拡張薬の死亡率、その他、未熟性によって起こる合併症に対する効果を検討すること。

検索方法: 

本レビューの今回の更新では、コクラン・ライブラリ2012年第3号、MEDLINE 1966年、EMBASE、CINAHL、個人ファイル、同定した試験の文献リストを2012年3月に検索した。さらに、PAS Abstracts2viewTM上で2000~2012年までWeb of ScienceとPediatric Academic Societiesの年次学会からの抄録を電子的に検索した。言語による制限を設けなかった。

選択基準: 

早産児を対象としたランダム化比較試験(RCT)を適格とした。CLD予防のための気管支拡張薬療法の開始は、生後2週間以内とした。CLDの治療は新生児室からの退室前に開始とした。プラセボまたは無介入と比較した、ネブライザー、定量吸入器(スペーサー併用または無併用)、静脈内または経口投与による気管支拡張薬の投与を介入とした。適格な研究は事前に設定した臨床アウトカム[死亡率、CLD、酸素投与日数、人工呼吸器使用日数、動脈管開存症(PDA)、肺間質性気腫(PIE)、気胸、すべてのグレードの脳室内出血(IVH)、壊死性腸炎(NEC)、敗血症、気管支拡張薬の有害作用]の1つ以上を含むものとした。気管支拡張薬の有害な作用には、低カリウム血症、頻脈、心不整脈、振戦、高血圧および高血糖を含めた。

データ収集と分析: 

Cochrane Handbook for Systematic Reviews of Interventions(Higgins,2011.に記載の標準的方法を用いた。2名のレビューアが各研究について、すべてのデータを抽出し評価した。二値アウトカムではリスク比(RR)とリスク(RD)およびその95%信頼区間(CI)を、連続データでは重み付け平均差(WMD)を報告した。

主な結果: 

本更新において、早産児における気管支拡張薬の効果を検討している4件のランダム化比較試験(RCT)を同定した。臨床アウトカムを報告していることという選択基準を満たした研究はなかった。1件の適格研究はCLDの予防に関し以前に認めていたものであり、サルブタモールを用い173名の乳児を組み入れていた。CLDの治療に関する適格な研究を認めなかった。サルブタモールによる予防投与は、死亡率(RR 1.08,95%CI 0.50~2.31;RD 0.01,95%CI -0.09~0.11)およびCLD(RR 1.03,95%CI 0.78~1.37;RD 0.02,95%CI -0.13~0.17)における統計学的有意を示さなかった。CLDまたは早期産に関連した他の合併症に統計学的有意はなかった。サルブタモールによる副作用について本研究では言及されていなかった。

訳注: 

監  訳: 江藤 宏美,2012.10.31

実施組織: 厚生労働省委託事業によりMindsが実施した。

ご注意 : この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、Minds事務局までご連絡ください。Mindsでは最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、編集作業に伴うタイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。

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