転移性乳癌女性患者を対象にした、大量化学療法と自己骨髄移植または幹細胞移植併用と普通の化学療法との比較

著者の結論: 

転移性乳癌女性において通常の化学療法に比べて大量化学療法・自家移植の方が無イベント生存を有意に改善したというエビデンスがあったが、全生存での利益について有意なエビデンスはなかった。骨髄または幹細胞移植と大量化学療法併用は臨床試験以外で転移性乳癌患者に実施すべきではない。

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背景: 

転移性乳癌は通常の化学療法に反応することが多いが、最終的には完治しない状態となる。骨髄または末梢血幹細胞自己移植(患者が提供者であり受容者でもある)は、より高用量の化学療法の使用が可能となるため、有望な方法の一つと考えられている。

目的: 

転移性乳癌女性での、普通の化学療法に比べた大量化学療法と自家骨髄または幹細胞移植(自家移植)の有効性を検討すること。アウトカムは生存率、治療関連毒性、および生活の質であった。

検索戦略: 

骨髄移植、幹細胞移植、自己幹細胞サポートの用語を加えてCochrane Breast Cancer Group検索法を使用した。以下のデータベースを2010年8月まで検索した。MEDLINE、EMBASE、コクラン・ライブラリ、ASCO(米国臨床腫瘍学会)。また未発表データについてCochrane Breast Cancer Groupデータベースと試験登録簿を検索し認められた論文の参照文献リストをチェックした。

選択基準: 

転移性乳癌女性を対象に通常の化学療法と大量化学療法と自家移植との併用の有効性を比較したランダム化比較試験。

データ収集と分析: 

6件のランダム化比較試験が選択基準を満たした。2名のレビューアが別々にデータを抽出した。

主な結果: 

計437例の適格女性が自家移植と大量化学療法併用にランダム化され、413例が普通の化学療法にランダム化された。大量群では15例の治療関連の死亡があり、対照(普通用量)群では2例であった(RR 4.08、95%CI 1.40~11.93)。3年目時点および5年目時点に、大量群と対照群とに全生存における統計学的有意差はなかった。追跡調査の5年目時点で、無イベント生存に統計学的有意差があり、大量群の方が有利であった(RR 2.84、95%CI 1.07~7.50)。毒性は大量群で重度であった。試験のうち1件のみがすべての女性を5年間追跡調査していた。

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