早産児の慢性肺疾患の予防に対するクロモリンナトリウム

レビューの論点:早産児の生後28日または在胎週数36週目(PMA:最終月経からの日齢)の慢性肺疾患の発生率、死亡率、もしくは、生後28日または在胎36週目(PMA)の死亡率と慢性肺疾患の複合アウトカムに対して、クロモリンナトリウムの予防投与がどのような効果を与えるか。

背景

クロモリンナトリウムを生後数日で投与しても、早産児の慢性肺疾患を予防する効果は認められていない。早産児(PMA37週以前に生まれた赤ちゃん)は、慢性的な肺疾患のため、何週間も酸素を使用する必要があることがよくある。これは、肺の炎症(腫れ)が原因の一つである。理論的には、クロモリンナトリウムは、この炎症を防ぐのに役立つ可能性がある薬である。比較的安全性が高く、副作用はほとんどない。慢性的な肺疾患を予防するために、生後数日の間にネブライザーやエアゾール吸入器を使って投与することができる。

研究の特徴

研究は、64人の乳児を対象とした2件のみだった。2件の研究のうち1件では、バイアスのリスクが低かったのに対し、2つ目の研究では、乳幼児がどのように治療群に分けられたのか、親や医師がどの治療が行われたのかを認識していたのかが懸念された(ランダム割付の順番の作成、割付の隠蔽化、結果評価の盲検化)。

研究の資金源

企業から資金提供を受けている研究は見つからなかった。

主な結果

クロモリンナトリウムによる予防は、死亡率、生後28日目の慢性肺疾患、生後28日目の慢性肺疾患、生後28日目または生後36週目の慢性肺疾患、生後28日目または生後36週目の生存者の慢性肺疾患の複合アウトカムに重要な影響を及ぼさなかった。この臨床試験のレビューでは、クロモリンナトリウムが慢性肺疾患を予防または軽減できるという強いエビデンスはなく、さらなる研究は正当化されないようである。

エビデンスの質

ほとんどの指標において、エビデンスの質は低かった。

訳注: 

《実施組織》 小林絵里子、阪野正大 翻訳 [2021.10.15]《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、コクランジャパンまでご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。 《CD003059.pub3》

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