小児期および思春期でのフッ化物局所応用方法(歯磨剤、洗口剤、ジェル、バーニッシュ)のう蝕予防効果における相互の比較

著者の結論: 

小児のう蝕におけるフッ化物配合歯磨剤と洗口剤、ジェルとの比較では同程度の予防効果を示すようである。バーニッシュが洗口剤よりも効果があるということは明確ではないし、バーニッシュとジェル、洗口剤とジェルとの比較でもう蝕抑制効果に差があるとはいえない。採用された研究の中でのデータの報告がなかったので、有害性についての結論を得ることはできなかった。フッ化物配合歯磨剤の方が、より応用されやすいようである。

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背景: 

歯磨剤、洗口剤、バーニッシュ、ジェルの製剤によるフッ化物局所応用方法は有効なう蝕予防手段である。しかしながら、これらの予防方法相互の相対的な効果については明確ではない。

目的: 

小児期のう蝕予防のために使用されるいくつかのフッ化物局所応 用方法の効果を相互に比較することである。

検索戦略: 

Cochrane Oral Health Group Trial Register(2002年5月)、Cochrane Central Register of Controlled Trials(CENTRAL)(Cochrane Library 2000年のIssure 2)、MEDLINE(1966年~2000年1月まで)にくわえていくつかの他のデータベースを検索した。また、雑誌、論文の文献リストをハンドサーチし、必要に応じて著者と製造業者とに連絡を取った。

選択基準: 

16才までの小児を対象とした最低1年以上のランダム化比較試験あるいは準ランダムか比較試験で、バーニッシュ、ジェル、洗口剤、歯磨剤のそれぞれの比較をブラインド化されたアウトカム評価によってなされた研究を採用した。主要なアウトカムは、う蝕増加量すなわちう蝕による未処置歯、喪失歯、処置歯の歯面数(D(M)FS)の変化量とした。

データ収集と分析: 

採用データの決定、データの質の評価、データの除外は、採用された研究の3分の1を無作為に抽出し二重にチェックし、討論あるいは第3者によって一致させた。欠損データについては著者と連絡を取った。主要な効果判定は予防率(PF)で行った。すなわち、対照群の平均う蝕歯面数の増加に対する治療群と対照群それぞれの平均う蝕増加歯面数の差の割合(パーセント)で示されたものである。ランダム効果メタアナリシスが選択されたデータについて行われた。

主な結果: 

17の研究が採用され、その中の15の研究がメタアナリシスに応用された。フッ化物配合歯磨剤は、洗口剤に対しては統合されたDMFSによるPFは0%(95%CI、-18~19%;p=0.94)、ジェルには統合されたDMFSによるPFは0%(95%CI、-18~19%;p=1),洗口剤とジェルの併用とは統合されたDMFSによるPF1%(95%CI、-13~14%;p=0.94)と有意なう蝕抑制効果の差は見られなかった。しかしデータ内の異質性が存在していた。歯磨剤とバーニッシュに関する一つの比較研究(乳歯う蝕)の結果は確定的ではなかった(dfs PF5%、95%CIは得られない)。バーニッシュと洗口剤の比較では、有意な差はないがややバーニッシュの予防効果が高かった(DMFS PF10%;95%CI、-12~32%;p=0.40)。しかし、この結果は感度分析に対しても明確でなく、異質性が考慮される。バーニッシュとジェルの一つの比較試験ではDMFS PF14%(95%CI、-12~40%;p=0.30)、ジェルと洗口剤の一つの比較試験ではDMFS PF-14%(95%CI、-40~12%;p=0.30)と決定的な差はなかった(それぞれバーニッシュと洗口剤の方がやや予防率が高かった)。

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