慢性心不全成人患者の退院後の臨床サービス組織

この日本語訳は最新版ではない。英語の最新版をご覧になるにはここをクリックしてください。

慢性心不全(CHF)は、主に高齢者が罹患する重篤な疾患である。集団の加齢とともに増加し、緊急入院及び死亡の高リスクをもたらす。本レビューは、過去のレビューで発表された臨床試験を含む、初期のレビューを更新したものである。 我々は、CHF患者の退院後のケアを組織化する各種方法を検討した患者約6,000名を対象とする25件の臨床試験を検討した。約3分の1の試験で報告書の質が不明であったが、大半は質が高く、結果の信頼度が高いと思われた。上記試験を下記3モデルに分類した。すなわち、1)通常は専門看護師が電話及び家庭訪問により集中的に患者をモニタリングする症例管理介入、2)CHF専門医院でのフォローアップを行う外来介入及び3)多職種介入(入院とチーム提供による退院後ケアのギャップを埋めるホリスティックアプローチ)である。可能な場合、大規模な患者集団に対する全体的な効果を検討するため試験を組み合わせた。 17件の試験で、症例管理介入が報告された。この介入を受けた患者の退院1年後の原因を問わない死亡率は、通常ケアを受けた患者より低かった。心不全(HF)関連の死亡を報告した試験がわずかに存在したが、群間に実質的なは認められなかった。症例管理の患者は、退院6ヵ月後の心不全(HF)による再入院の傾向が低かった。又、退院1年後のHFによる再入院の傾向が少なかったが、この結果を報告する試験は複合データから強力な結論を引き出すほど十分ではなかった。退院1年後、症例管理患者は通常ケアを受けた患者より、理由を問わない再入院の傾向が低かった。専門看護師による電話でのフォローアップは、より奏効したプログラムの一般的特性であった。 6件の試験で心不全専門外来を検討し、通院患者と通常ケアを受けた患者との間に、原因を問わない死亡又はHFのための再入院に実質的なを認めなかった。多職種介入を検討した試験は、2件のみであった。治療群では通常ケア群より原因を問わない死亡数がやや少なく、全ての原因及び心不全関連の再入院は多職種介入を受ける患者で大幅に低かった。 介入に伴う有害事象を報告する試験はなかった。

著者の結論: 

過去に本疾患のため入院経験のあるCHF患者では、心不全専門の看護師による症例管理介入によりフォローアップ12ヵ月目にCHF関連の再入院が減少し、原因を問わない再入院及び原因を問わない死亡率が低下した。上記の症例管理介入の最善のコンポーネントが何かは明らかにされなかったが、専門看護師による電話でのフォローアップは一般的なコンポーネントであった。 多職種介入は、CHF及び原因を問わない再入院をともに減少させる上で有効と思われる。「CHF外来でのフォローアップ」を主要コンポーネントとする介入を裏付けるエビデンスは現在、限定的である。

アブストラクト全文を閲覧
背景: 

慢性心不全(CHF)は、高頻度の入院を伴う重篤な一般的疾患である。CHF患者に対する各種疾患管理介入(臨床サービス組織による介入)が提案されてきた。

目的: 

CHF患者のための疾患管理介入の有効性を評価した過去に発表済みのレビューを更新する。

検索方法: 

コクラン・ライブラリのCENTRAL(Cochrane Central Register of Controlled Trials)及びDARE(2009年第1号)、MEDLINE(1950年~2009年1月)、EMBASE(1980年~2009年1月)、CINAHL(1982年~2009年1月)、AMED(1985年~2009年1月)からなる多数のデータベースの最新レビューを検索した。最初のレビュー(更新版ではなく)については、Science Citation Index Expanded(1981年~2001年)、SIGLE(1980年~2003年)、National Research Register(2003年)及びNHS Economic Evaluations Database(2001年)も検索した。元のレビュー及び更新したレビューの両者とも、対象となった試験の参考文献リストも検索した。

選択基準: 

CHF患者に特異的な管理介入と、通常ケアを比較する、6ヵ月間以上のフォローアップを伴うランダム化比較試験

データ収集と分析: 

2名以上のレビューアが別々にデータを抽出し、試験の質を評価した。必要に応じさらなる情報について、試験の著者と連絡をとった。データを解析し、オッズ比(OR)として95%信頼区間(CI)とともに表示した。

主な結果: 

25件の試験(5,942例)を対象とした。(1)症例管理介入(退院後、時々電話でのフォローアップ及び家庭訪問をする患者の集中モニタリング)、(2)外来介入(CHF医院でのフォローアップ)及び(3)多職種介入(入院と退院後チームが提供する在宅ケアとの間のギャップを埋めるホリスティックアプローチ)のいずれかに介入を分類した。各種試験で提供される介入のコンポーネント、強度及び期間には比較対照としての「通常ケア」同様変動がみられた。 症例管理介入は、12ヵ月フォローアップ時の原因を問わない死亡率低下との関連を認めた(OR 0.66、95%CI 0.47~0.91)が、6ヵ月目には認められなかった。CHF又は心血管系の原因による死亡の低下は認められなかった。但し症例管理介入により、フォローアップ6ヵ月目(OR 0.64、95%CI 0.46~0.88、P = 0.007)及び12ヵ月目(OR 0.47、95%CI 0.30~0.76)にCHF関連の再入院が減少した。原因を問わない入院に対する上記介入の影響は、6ヵ月目では明らかでなかったが12ヵ月目では明らかに認められた(OR 0.75、95%CI 0.57~0.99、I2 = 58%)。 CHF外来介入(6ヵ月間及び12ヵ月間のフォローアップ期間)では、原因を問わない死亡、CHF関連の入院及び原因を問わない再入院に非有意の低下を認めた。 多職種介入を検討した2件の試験では死亡率低下を認めなかった。しかし、原因を問わない再入院及びCHF関連の再入院はともに減少した(各々、OR 0.46、95%CI 0.46~0.69及び0.45、95%CI 0.28~0.72)。

訳注: 

監  訳: 澤村 匡史,2013.1.30

実施組織: 厚生労働省委託事業によりMindsが実施した。

ご注意 : この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、Minds事務局までご連絡ください。Mindsでは最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、編集作業に伴うタイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。

Share/Save