月経困難症に対する脊椎マニピュレーション

生理痛(月経困難症)は、子宮の痙攣によって生じる。月経困難症に対する非薬物療法のひとつに、脊椎マニピュレーション(手を使って背骨のある部分を押圧する方法)がある。この手技は、理学療法士や整骨師、カイロプラクターが施術する場合がある。月経困難症は血流が滞ることによって生じる場合があることから、下部脊椎にマニピュレーションを施すと骨盤部分の血流が改善される可能性がある。試験のレビューからは、脊椎マニピュレーションが月経困難症を軽減することを示唆するエビデンスは得られなかった。

著者の結論: 

月経困難症の治療において、脊椎マニピュレーションの有効性を示唆するエビデンスは存在しない。有害作用を報告していた1試験では、疑似マニピュレーションと比較して、脊椎マニピュレーションで有害作用のリスクが増大することはなかった。

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背景: 

月経困難症(子宮に原因がある疼痛を伴う月経痙攣の発生)は、よくみられる婦人科系疾患である。筋骨格系の機能障害から生じる疼痛の特徴は、月経に伴うホルモンの変動によって変化し周期的に現れる婦人科系の疼痛にきわめて類似している。月経困難症に対する内科的治療には、通常、抗炎症薬、経口避妊薬、または外科的介入がある。脊椎マニピュレーションは、非内科的介入である。椎骨マニピュレーションは脊椎の可動性を高めることから、骨盤の血流を改善し、疼痛の緩和を促すことが示唆されている。

目的: 

月経困難症に対する脊椎マニピュレーション介入の安全性および有効性を、プラセボ、無治療、または他の内科的治療と相互に比較し評価する。

検索方法: 

本アップデートでは、Cochrane Menstrual Disorders and Subfertility Group Trials Register(2009年5月)、CENTRAL(2009年第2四半期まで)、MEDLINE(1966年~2009年5月)、EMBASE(1980年~2009年5月)、CINAHL(1982年~2009年5月)およびPsycINFO誌(1806年~2009年5月)を検索した。レビュー論文の引用文献一覧および組み入れ試験を調べた。

選択基準: 

脊椎マニピュレーション介入(例:カイロプラティック、整骨療法、またはマニピュレーション理学療法)と、プラセボ、無治療、または他の内科的治療の相互比較を含むすべてのランダム化比較試験(RCT)を検討した。軽度月経困難症、不定期に起こる月経困難症または子宮内避妊具(IUD)による月経困難症は除外した。

データ収集と分析: 

高速低振幅(HVLA)マニピュレーションを検討した2試験およびToftnessテクニック を検討した1試験を組み入れた。レビュー著者2名がそれぞれ試験の質の評価およびデータ抽出を行った。メタアナリシスに適するデータは存在しなかった。このため、データは記述的データとして報告した。アウトカム指標は、疼痛の緩和または強度、および有害作用とした。

主な結果: 

HVLAマニピュレーションの結果から、月経困難症の治療に用いた疑似マニピュレーションと比較した場合、HVLAマニピュレーションに有効性は認められないことが示唆された。小規模試験1試験では、HVLAマニピュレーションに肯定的なが示されたものの、適切なサンプル数を備えたこの試験では、HVLAマニピュレーションと疑似マニピュレーションとの間には認められなかった。有害作用にはは認められなかった。小規模試験1試験において、Toftnessテクニックは、疑似治療と比較して有効であると考えられたが、サンプル数の限界および方法論的な限界のため、結論を導くことはできなかった。

訳注: 

《実施組織》厚生労働省「「統合医療」に係る情報発信等推進事業」(eJIM:http://www.ejim.ncgg.go.jp/)[2018.1.27]
《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、eJIM事務局までご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。eJIMでは最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。 
CD002119 Pub3

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