小児における滲出性中耳炎を伴う聴覚障害に対する経口または鼻局所ステロイド薬

著者の結論: 

経口ステロイド薬は、特に経口抗菌薬と併用投与した場合、短期間でOMEの回復が早まるが、長期投与による利益や聴力障害の症状を軽減するというエビデンスはない。局所経鼻内ステロイド薬の単独または抗菌薬との併用投与によるOMEの治療では、短期間または長期間の追跡調査時点での利益を示すエビデンスは認められなかった。

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背景: 

滲出性中耳炎(OME)はよくみられ、発達遅延を伴う聴覚障害を引き起こす可能性がある。治療については依然議論がある。

目的: 

OMEを伴う聴覚障害のある小児を対象に、全身性または局所鼻腔内ステロイド薬による治療のエビデンスを調査すること。

検索方法: 

Cochrane ENT Group Trials Register、CENTRAL、PubMed、EMBASE、CINAHL、Web of Science、BIOSIS Previews、Cambridge Scientific Abstracts、mRCT、および発表済みまたは未発表の試験に関するその後追加された情報を検索した。直近の検索日は2010年8月26日であった。

選択基準: 

経口または局所鼻腔内ステロイド薬の単独投与または経口抗菌薬などの他の薬剤との併用投与に関するランダム化比較試験(RCT)。抄録形式のみでの論文、非比較、非ランダム化、または後向き研究、及びアウトカムを耳単位(小児ではなく)で報告している研究は除外した。

データ収集と分析: 

レビューアらは標準化されたデータ抽出様式および手法を用いて、発表されている報告内容からデータを別々に抽出した。コクランの「Risk of bias」ツールを用いて選択した研究の質を評価した。2値結果をリスク比(RR)として、連続データを重み付け平均差(WMD)として、それぞれ95%信頼区間(CI)と共に表した。可能な場合は、ランダム効果モデルを用いて研究を統合し、研究間の異質性について検査を実施した。クロスオーバーデザインの試験では、クロスオーバー後の治療データは使用しなかった。

主な結果: 

合計945例の参加者で実施された質が中程度から高度の12件の研究を選択した。ランダム化前にOMEを伴う聴力障害を確認していた研究はなかった。追跡調査期間は概して限られており、6カ月を超えるアウトカムに関するデータについて報告していたのは、鼻腔内ステロイド薬に関する研究が1件のみであった。OMEを伴う聴力障害について、ステロイド投与(経口または局所)の利益を示すエビデンスはなかった。短期間の追跡調査(1カ月未満)でのOMEの回復について、固定効果モデルを用いて統合したデータによりコントロールと比較した場合、経口ステロイド薬で有意な効果が示された(RR 4.48、95% CI 1.52~13.23、Chi2 2.75、df = 2、P = 0.25、I2 = 27%)。ランダム効果モデルを用いてプラセボ+抗菌薬と比較した場合、経口ステロイド薬+抗菌薬では、1カ月未満の追跡期間の時点でOME回復における改善がみられた(RR 1.99、95%CI 1.14~3.49、試験5例、小児409例)。しかしながら、研究間で大きな異質性がみられた(P < 0.01、I2 = 69%)。経口ステロイド薬(単独投与または抗菌薬との併用投与)を投与した場合の1カ月超の追跡調査時点における、または鼻腔内ステロイド薬(単独投与または抗菌薬との併用投与)を投与した場合の追跡調査期間の時期を問わず、OME回復に対する有効性を示すエビデンスはなかった。症状について、ステロイド投与(経口または局所)による利益を示すエビデンスも認められなかった。

訳注: 

監  訳: 尹 忠秀,2011.10.4

実施組織: 厚生労働省委託事業によりMindsが実施した。

ご注意 : この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、Minds事務局までご連絡ください。Mindsでは最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、編集作業に伴うタイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。

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