薬剤抵抗性焦点性てんかんに対するレべチラセタム付加

レべチラセタムは、現在入手可能な抗てんかん薬の新規コホートの一つである。本レビューは、薬剤抵抗性の焦点発作を呈するてんかん患者に対する通常ケアへの付加療法としての使用の有効性に関する現在のエビデンスをまとめる。本レビューで解析した全用量で、レべチラセタムはプラセボより有意に発作頻度を低下させた。しかし正の効果のサイズが試験によって異なるため、レべチラセタムの全体的な効果の大小を推定する要約を提供することは困難である。2,000 mg用量で、レべチラセタムの効果プラセボの約4倍以上で、成人の約30%が発作頻度の有意な低下が期待される。小児はレべチラセタム60 mg/kg/日用量を服用した結果、同様におおむねプラセボより有効であった。小児の約4分の1がこの用量で発作を有意に減少可能であった。全体的所見では、レべチラセタムは焦点性発作頻度を低下させるのに有効で、成人及び小児ともに忍容性が良好である。レべチラセタム服用の小児の行動変化の可能性が強調されているが、この所見は検証を要する。本レビューは2001年発表のレビューの更新版で、最初のレビューにさらに7件の試験を付加した。本レビューの結論は、2件のレビュー間で大幅な変更はなかった。本更新の最も重要な点は、解析に小児データを付加した点である。この結果は、全身発作へのレべチラセタム使用又は単独薬としてのレべチラセタム適用とは関係しない。

著者の結論: 

この更新では、4件の試験を含む最初のレビューに7件の試験が付加された。各解析対象用量では、レべチラセタムはプラセボより有意に焦点発作頻度を低下させた。このことから、レべチラセタムを薬剤抵抗性焦点性てんかん成人及び小児患者両者の付加療法として使用すると、焦点発作頻度を有意に低下可能であることが示された。この正の効果の範囲内に統計的に有意な異質性のエビデンスが存在するため、この効果の相対的強度の精度を求めるのは困難である。2,000 mg用量でレべチラセタムはプラセボの3.9倍の効果を示し、成人の30%がこの用量で奏効するものと思われる。60 mg/kg/日用量でレべチラセタムはプラセボの0.9倍の効果を示し、小児の25%がこの用量で奏効するものと思われる。用量を考慮しない場合、小児は成人より約4%~13%良好な奏効を示した。この結果は、プラセボよりレべチラセタム投与を受けた小児又は成人4名又は5名中1名がレべチラセタム投与に奏効することを示している。小児では行動の非特異的変化の発現が全体の20%と高頻度であるが、成人及び小児とも忍容性は良好であるように思われる。レべチラセタムの有害作用プロファイルのこの側面をおおまかに分析したところ、さらなる調査及び検証を要することがわかった。薬剤抵抗性焦点性てんかんの成人及び小児患者におけるレべチラセタム使用継続は合理性があると思われる。上記結果は、レべチラセタムの長期又は単独投与の効果あるいは全身発作に対する効果を確認するためには使用できない。本レビューの結論は、元のレビューから大きな変更はない。本更新の最も重要な点は、解析に小児データを付加した点である。

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背景: 

てんかんは重大な神経学的疾患で、てんかんにおける薬剤抵抗性は特に焦点発作患者に一般に認められる。本レビューでは、新規抗てんかん薬レべチラセタムを薬剤抵抗性焦点性てんかん管理の付加療法として使用した場合に現在得られるエビデンスを要約する。本レビューは、2001年に発表されたコクラン・レビューの更新版である。

目的: 

薬剤抵抗性焦点性てんかんの通常ケアに付加療法薬として用いたレべチラセタムの有効性を評価する。

検索方法: 

Cochrane Epilepsy Group's Specialized Register(2012年8月)、Cochrane Central Register of Controlled Trials(CENTRAL、コクラン・ライブラリ2012年第7号、)及びMEDLINE(1946年~2012年8月第1週)を検索した。さらに、レべチラセタム製造者及びこの分野の研究者と連絡をとり、継続中又は未発表の試験を探索した。

選択基準: 

薬剤抵抗性焦点性てんかん患者におけるレべチラセタム付加投与のランダムプラセボ対照比較試験

データ収集と分析: 

レビューア2名が別々に、採択する試験を選択し、バイアスを評価し、データを抽出し、エビデンス全体の質を評価した。検討したアウトカムは、焦点発作頻度の50%以上の低下(奏効)、焦点発作頻度の50%未満の低下(無効)、試験中止、有害作用(行動変化の特別解析を含む)、認知作用及び生活の質(QOL)であった。リスク比(RR)とその95%信頼区間(CI)を効果指標として用いた(有害作用は99% CI)。 主要解析はITT解析であった。用量反応及び試験間異質性を回帰モデルで評価した。

主な結果: 

11件の試験(参加者1,861名)が組み入れられた。上記試験の大部分のバイアスのリスクは低かった。参加者は、9件の試験で成人(1,565名)、残りの2件で小児(296名)であった。対象となったレべチラセタム用量は、成人で1,000~4,000 mg/日、小児で60 mg/kg/日であった。投与期間は12~24週であった。焦点発作頻度アウトカムの50%以上の低下に対して、レべチラセタムのRRが全用量で有意に優れていた。用量を考慮しない場合のナイーブ推定では小児(52%奏効)は成人(39%奏効)より良好な効果を示した。小児の25%及び成人の16%がプラセボに奏効した。さらに有効なアウトカムのために必要な治療数は小児で4例(95%信頼区間3~7)、成人で5例(95%信頼区間4~6)であった。成人では試験間異質性が統計学的に有意であったため、全体RR(用量を考慮しない)の有効な提示はできなかった。成人に対するレべチラセタム2,000 mgを検討する2件の試験結果は十分に類似性を示したため、統合した結果、50%以上の焦点発作頻度低下のRRは4.91(95%CI 2.75~8.77)、無効のRRは0.68(95%CI 0.60~0.77)であった。上記用量で成人のレべチラセタム及びプラセボ投与群中の奏効例は各々、37%及び8%であった。回帰分析により、成人における試験間異質性の多くが、検査対象となったレべチラセタム用量の違い及び試験発表年の違いにより説明されることが示された。小児においては試験間の統計学的異質性のエビデンスはなかった。上記試験では、焦点発作頻度の50%以上の低下のRRが1.91(95%CI 1.38~2.63)、無効のRRが0.68(95%CI 0.56~0.81)であった。小児の27%が奏効した。参加者はレべチラセタム投与中止への傾向が有意ではなかった(成人では、RR 0.98, 95%CI 0.73~1.32及び小児ではRR 0.80, 95%CI 0.43~ 1.46)。成人では、傾眠(RR 1.51、99%CI 1.06~2.17)及び感染(RR 1.76、99%CI 1.03~3.02)のレべチラセタムとの関連が有意であった。不慮の事故による傷害とプラセボとの間に有意な関連を認めた(RR 0.60, 99%CI 0.39~0.92)。小児においてレべチラセタム投与と有意な関連を示す有害作用は認められなかった。行動変化は成人ではほとんどなかったが(1%罹患、RR 1.79, 99%CI 0.59~5.41)、小児では有意に認められた(23%罹患、RR 1.90, 99%CI 1.16~3.11)。認知への影響及びQOLアウトカムにより、レべチラセタムは成人の認知及びQOLの一部側面に対し正の効果が示された。小児では、レべチラセタム投与により認知機能の変化は認めなかったが、小児行動の一定面に悪化のエビデンスが存在した。用いたエビデンスの全体的質は高かった。

訳注: 

監  訳: 江川 賢一,2013.1.30

実施組織: 厚生労働省委託事業によりMindsが実施した。

ご注意 : この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、Minds事務局までご連絡ください。Mindsでは最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、編集作業に伴うタイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。

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