慢性腎臓病を有する非糖尿病成人のための低蛋白食

論点

さまざまな形態の腎疾患が腎不全を引き起こし、最終的には透析治療が必要になる。腎疾患から腎不全への進行を遅らせるために、低蛋白食が推奨される場合がある。低蛋白食が腎疾患の進行を遅らせ、透析開始の必要性を遅らせることができるかどうかは依然不明である。

実施したこと

2020年9月7日までのCochrane Kidney and Transplant Specialized Registerにおけるランダム化比較試験(Randomised Controlled Trials :RCT)を検索した。透析をまだ必要としていない慢性腎臓病の非糖尿病成人患者を登録し、超低蛋白(0.3~0.4 g/kg/日)、低蛋白(0.5~0.6g/kg/日)または通常の摂取量(≥0.8g/kg/日)の異なる蛋白質摂取量を12か月以上にわたって介入している群を比較した。

何がわかったか?

腎機能が低下した2996例を対象とした17件の試験(21件のデータセット)のエビデンスを調査した。超低蛋白食は、低蛋白食や通常の蛋白食と比較して、透析に進んだ進行性腎不全の人の数を減らす可能性があることが判明した。低蛋白食と、通常の蛋白食とを比較した場合、透析に進んだ重症度の低い腎不全の人の数にほとんど差がなかった。 体重減少などの低蛋白食の副作用はまれであったが、多くの試験は副作用が報告されていなかった。

結論

進行性腎不全患者は、蛋白質摂取量が非常に少ないと、腎不全の進行が遅くなる可能性がある。しかし、低蛋白食の副作用や、そのような食生活を維持する困難があるため、生活の質が低下するかどうかについて、より多くの情報が必要である。

訳注: 

《実施組織》榛葉有希、杉山伸子 翻訳[2021.01.20]本レビューはCD01892.pub2のアップデート版である。CD001892.pub2の翻訳は厚生労働省「「統合医療」に係る情報発信等推進事業」eJIM:https://www.ejim.ncgg.go.jp/)」が実施した[2019.9.30]《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、コクランジャパンまでご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。 《CD001892.pub5》

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