喘息治療に対する洞窟療法(塩含有空気にされされた状態、地下が多い)

洞窟療法(地下環境で過ごす状態)は喘息患者に何らかの利益をもたらすと信じられている。患者は個々に指定された洞窟や鉱山で短期間過ごし、時折り個別的な身体運動あるいは呼吸運動を行う。長期滞在の為の病棟もいくつかある。空気の質、地下の気候、気圧または放射線照射からその利益はもたらされると信じられている。これらの特徴は洞窟と鉱山では異なる。(例えば、一部の鉱山では高濃度の放射線、および湿度の異なる特徴が認められる)ランダム化比較試験からは、エビデンスは見つからず、更なる研究が必要である。

著者の結論: 

入手したエビデンスから、慢性喘息の治療で洞窟療法による介入が有効か否かについて信頼性の高い結論を導くことができなかった。ランダム化比較試験と長期フォローアップが必要である。

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背景: 

洞窟療法は地下環境を利用した慢性閉塞性気道疾患の治療方法である。英国や米国ではほとんど知られていないが、中央ヨーロッパや東ヨーロッパ諸国の一部でかなり広く普及している。

目的: 

喘息治療で洞窟療法の有効性を示すエビデンスを検証すること。

検索戦略: 

電子的データベース(MEDLINE、EMBASE、Cochrane Airways group database)の検索、洞窟療法施設やこの分野の専門家への問い合わせ、会報のハンドサーチ、論文の参考文献のチェックにより、関連する可能性がある発表論文を抽出した。最新の検索は2006年4月に行った。

選択基準: 

慢性喘息患者で洞窟療法の臨床効果を他の介入または介入なしと比較した比較試験(即ち、ランダム化され、割付け方法を知らせていない試験)を組み入れた。

データ収集と分析: 

2名のレビューアが独立して患者、介入法、結果、方法に関する情報を標準化した方法で抽出し、記述的にまとめた。

主な結果: 

喘息患児計124名が参加した3件の試験が参加基準に適合したが、方法の質が適切であった試験は1件のみであった。2件の試験は、洞窟療法が肺機能に及ぼす短期効果を報告した。他のアウトカムは信頼性の高い方法で評価できなかった。

訳注: 

《実施組織》厚生労働省「「統合医療」に係る情報発信等推進事業」(eJIM:http://www.ejim.ncgg.go.jp/)[2015.12.26]《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、eJIM事務局までご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。eJIMでは最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。

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