冠動脈疾患の一次予防のための複合危険因子介入

著者の結論: 

行動の変化を目的とするカウンセリングおよび教育を用いた介入によって、一般集団では総死亡率、CHD死亡率または臨床イベントの減少はみられないが、高血圧症および糖尿病の高リスク集団においては死亡率の減少に有効であると思われる。危険因子の減少は軽微であるが、試験間での説明できない顕著な不均一性があるため、統合推定値の妥当性は疑わしい。エビデンスから、健康促進の介入は一般集団においては有用性に限界があることが示唆される。

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背景: 

カウンセリングと教育を用いた複合危険因子介入は、冠動脈疾患(CHD)による死亡率および罹病率の減少に効果的で、費用対効果も高く、広く使用すべきであると考えられていた。危険因子の変化を検討する試験によって、こうした介入の有効性に疑問が投げかけられている。

目的: 

過去にCHDの臨床的エビデンスがみられないとされる成人を対象に、複合危険因子介入が総死亡率、致死的および非致死的なCHDイベント、心血管系の危険因子を減少させる効果を評価すること。

検索方法: 

CENTRAL(2006年、Issue 2)、MEDLINE(2000年~2006年6月)、EMBASE(1998年~2006年6月)の検索と文献目録の調査により、以前の検索を更新した。

選択基準: 

一般集団、職業グループまたは特定の危険因子(糖尿病、高血圧症、高脂血症、肥満)を有する集団の成人を対象に2つ以上の心血管危険因子を改善させるためのカウンセリングまたは教育を実施した、6カ月を超えるランダム化比較試験

データ収集と分析: 

データは2名のレビューアが別々に抽出した。カテゴリカル変数を95%信頼区間(CI)とともにオッズ比(OR)として表した。死亡率とイベント率に関するその後の追跡データが研究によって発表されている場合は、これらのデータを更新した。

主な結果: 

55件の試験が見つかり(参加者163,471例)、追跡期間の中央値は12カ月間であった。臨床イベントのエンドポイントを報告している試験は14件(参加者139,256例)で、総死亡率の統合ORは1.00(95%CI 0.96~1.05)、CHD死亡率の統合ORは0.99(95%CI 0.92~1.07)であった。高血圧症患者(16試験)および糖尿病患者(5試験)を対象とする試験に限れば、総死亡率と致死的および非致死的な心血管イベントについては介入による利益が認められ、ORはそれぞれ0.78(95%CI 0.68~0.89)と0.71(95%CI 0.61~0.83)であった。収縮期血圧および拡張期血圧(53試験)と血中コレステロール(50試験)の正味の変化(重み付け平均差)は、それぞれ-2.71mmHg(95%CI -3.49~-1.93)、-2.13mmHg(95%CI -2.67~-1.58)、-0.24mmol/L(95%CI -0.32~-0.16)であった。喫煙率(20試験)低下のORは0.87(95%CI 0.75~1.00)であった。すべての危険因子解析の不均一性(I2 > 85%)は、併存疾患、割りつけの盲検化、抗高血圧薬またはコレステロール低下薬の使用、または試験時の年齢で説明がつかなかった。

訳注: 

監  訳: 澤村 匡史,2011.10.4

実施組織: 厚生労働省委託事業によりMindsが実施した。

ご注意 : この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、Minds事務局までご連絡ください。Mindsでは最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、編集作業に伴うタイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。

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