腰痛に対する鍼治療とドライニードリング

著者の結論: 

データから急性腰痛に対する鍼治療の有効性に関して確たる結論を下すことはできない。慢性腰痛に対し、鍼治療は治療直後と短期間のみに疼痛軽減と機能的改善において無治療や偽治療よりも有効である。鍼治療は、他の従来の方法や「代替」治療よりも効果が高いわけではない。これらのデータにより、鍼治療とドライニードリングは慢性腰痛に対する他の治療法への有用な付加療法であることが示唆される。研究のほとんどは研究手法の質が低いので、この分野での質の高いさらなる試験が確実に必要である。

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背景: 

腰痛は通常は自己完結性の良性疾患で、時間が経過すれば自然に改善することが多いが、その治療には多様な介入が使われている。

目的: 

非特異的腰痛に対する鍼治療の効果と腰部の筋膜疼痛症候群に対するドライニードリングの効果を評価する。

検索戦略: 

1996年から2003年2月までのCENTRAL、MEDLINEおよびEMBASEの最新の文献を検索した。2003年2月までのChinese Cochrane Centre database of clinical trialsと日本のデータベースも検索した。

選択基準: 

成人の非特異的(亜)急性または慢性腰痛に対する鍼治療(針打ちを含む)または腰部の筋膜疼痛症候群に対するドライニードリングのランダム化試験。

データ収集と分析: 

2名のレビューアが別々に、研究手法の質を(Cochrane Back Review Groupの推奨する基準により)評価し、データを抽出した。試験をメタアナリシス法で統合するか、報告されたデータが統計的にプールできない場合はエビデンスのレベルによって統合した。

主な結果: 

35件のRCTを本レビューに含めた。20件が英語、7件が日本語、5件が中国語で発表され、ノルウエー語、ポーランド語、ドイツ語で発表されたものが1件ずつあった。急性腰痛に対する鍼治療の試験は3件しかなかった。これらの試験はサンプルサイズが小さく研究手法の質が低かったので、確たる結論の根拠を示すことができなかった。慢性腰痛に対しては、無治療または偽療法と比べて鍼治療による疼痛軽減と機能的改善のエビデンスがある。このような効果は施術終了直後と短期経過観察時のみに観察された。鍼治療を他の従来の療法に追加すると、従来の方法のみの場合よりも疼痛が軽減し機能を改善するというエビデンスがある。しかしながら、効果はごく小さい。ドライニードリングは慢性腰痛に対する他の療法の付加療法として有用であると考えられる。最も効果的な鍼技術についての明確な推奨はできなかった。

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