急性足関節捻挫に対する超音波治療

超音波(すなわち、高周波の音波パルスを使用こと)は急性足関節捻挫の治療に用いられる。超音波により温度が上昇することで軟部組織の治癒に役立つと考えられている。本レビューの目的は、臨床現場での超音波使用を評価している試験のエビデンスを検証することであった。6試験を本レビューに組み入れた。試験方法に関する報告が不十分であったため、組み入れた試験バイアスのリスクを評価することは困難である。6試験では、比較的短期間の急性足関節捻挫を伴う参加者を合計606名組み入れていた。5試験では、超音波治療と超音波の偽治療(機械の電源を切る)を比較していた。6試験中3試験では、超音波と3つのその他の治療との単一比較を行っていた。主要な結果は、5件のプラセボ比較対照試験(超音波の偽治療)のレビューによるものであった。これらから、超音波療法は足関節捻挫後の疼痛や腫脹の回復や低減を促進せず、受傷した足や足関節で立ち上がる能力を改善させないことが判明した。大半の足関節捻挫は急速に治癒する。超音波はある意味回復度を改善するかもしれないが、このベネフィットの可能性は小さすぎるため重要ではないと考えられる。

著者の結論: 

本レビューに組み入れた5件のプラセボ比較対照試験からのエビデンスは、急性足関節捻挫の治療における超音波の使用を支持しなかった。超音波の治療効果可能性は全般的に小さく、特に、これらの外傷は通常回復期間が短いため、臨床的重要性は限られていると考えられる。しかし、入手したエビデンスは不充分であるため、ベネフィットがあるかもしれない超音波療法の最適な治療スケジュールが存在する可能性を除外できない。

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背景: 

超音波は、急性足関節捻挫を含む種々の筋骨格系疾患に対する治療に用いられている。本稿は、1999年に初めて公表され、2004年に更新されたコクランレビューの最新版である。

目的: 

急性足関節捻挫の治療における超音波治療効果を評価すること。

検索方法: 

Cochrane Bone, Joint and Muscle Trauma Group Specialised Register(2010年9月)、Cochrane Central Register of Controlled Trials(The Cochrane Library、2010年第3号)、MEDLINE(1996年〜2010年9月)、EMBASE(1983年〜2010年9月)、CINAHL(1982年〜2004年)、PEDro - the Physiotherapy Evidence Database(2009年1月6日にアクセス)を検索した。また、Cochrane Rehabilitation and Related Therapies Fieldデータベース、論文の参考文献リストを検索し、著者らに連絡を取った。進行中の試験について、WHO International Clinical Trials Registry Platformを検索した。

選択基準: 

下記の条件を満たした場合、ランダム化または準ランダム化試験を組み入れた。少なくとも一つの試験群で超音波治療を用いて治療がなされていること。参加者が急性足関節捻挫を伴っていること。評価項目に全般的改善度、疼痛、腫脹、機能的障害または可動域が含まれていること。

データ収集と分析: 

2名の著者がそれぞれ試験を選択し、バイアスのリスクを評価してデータを抽出した。二値アウトカムについてはリスク比およびリスクを95%信頼区間と共に、連続アウトカムについては平均差を95%信頼区間と共に算出した。参加者、治療、転帰、追跡調査の時点について臨床的均質性がみられる場合、データの統合を制限した。

主な結果: 

参加者606名を対象とした6試験を組み入れた。5試験では超音波療法と超音波の偽治療とを比較しており、3試験では超音波と3つのその他の治療とを単一比較していた。試験方法や結果の報告が不十分であったため、バイアスのリスクの評価はできなかった。5件のプラセボ比較対照試験(超音波の偽治療)のいずれも、追跡調査の1週目および4週目における評価項目について、超音波の実治療と偽治療との間に統計学的有意は認められなかった。1週目の全般的改善度に関する統合リスク比は、超音波の偽治療に対する実治療で1.04(ランダム効果モデル、95%信頼区間0.92〜1.17)であった。介入群間におけるは全般的に小さく、大半の二値アウトカムについて0%〜6%であった。

訳注: 

《実施組織》厚生労働省「「統合医療」に係る情報発信等推進事業」(eJIM:http://www.ejim.ncgg.go.jp/)[2018.1.21]
《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、eJIM事務局までご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。eJIMでは最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。 
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