早産児または低出生体重児の成長と発達を促進するためのマッサージ

胎内では、乳児は物理的刺激にさらされている。これより、優しく身体マッサージすることが、妊娠37週未満または体重2500g(5.5 ポンド)未満で生まれた乳児が出生後発育するのに役立つのか、そして行動を改善できるのかという疑問が生じる。当レビューでは、乳児のグループにマッサージ行い、マッサージを受けていない同様のグループとの比較を行ったランダム化比較試験研究のみを対象とした。著者は医学文献を検索し、専門家と連絡を取り、14件の研究が見つかった。大半の研究では、約15分間、1日3~4回、通常5~10日間に渡り乳児を揉んだり撫でたりした。また、看護師は乳児に触れたが、揉んだり撫でたりはしていない「静かで穏やかなタッチ」含む研究もあった。平均して、これらの研究では、「静かで穏やかなタッチ」ではないがマッサージを受けている乳児のほうが、触られていない乳児と比較して1日体重増加量が多かった(約5g)。また、知見の信頼性には問題があるものの、病院の滞在期間はより短く、発育試験は少し高めのスコアで、産後の合併症もわずかに少なかった。これらの研究では、ネガティブな影響は全く認められなかった。マッサージを行うことは看護師にとって時間がかかることであるが、大がかりなトレーニングを受けずに親がマッサージを行うことができる。

著者の結論: 

早産児のマッサージが発育のアウトカムに有効であるというエビデンスは弱く、早産児マッサージを普及させる根拠にはならない。マッサージを現在看護師が行っている場合は、時間的な費用効果を配慮する必要がある。今後の研究では、合併症や滞在期間などの臨床的アウトカム指標、そしてケア提供者や親の満足感といったケアの手順によるアウトカムにおいてマッサージ治療効果を評価すべきである。

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背景: 

新生児集中治療室において、乳児は非常にストレスの多い環境(非常に強い断続的なノイズと明るい光)にさらされているとともに、子宮内や普通の育児であれば経験する触覚的な刺激も受けることがないと主張されている。マッサージはストレス軽減と触覚的刺激の両方をもたらすとみられ、早産児および低出生体重児の成長と発育を促進する療法として推奨されている。

目的: 

標準的ケアを受けた乳児と比較して、マッサージを受けた早産児・低出生体重児に、体重増加と早期退院がより多くみられたか、またマッサージによって他の有益もしくは有害な影響が本グループにあるかどうか評価することを目的とした。

検索方法: 

Cochrane Neonatal Review GroupおよびCochrane Complementary Medicine FieldのSpecialized Registerに含まれるデータベースを検索した。また、Cochrane Central Register of Controlled Trials (CENTRAL、コクラン・ライブラリ、2003年3号)、MEDLINE、EMBASE、Psychlit、CINAHL、 および Dissertation Abstracts International (~2003年7月1日)も検索した。より詳細なリファレンスは、引用の追跡や個人的ファイルの確認、専門家とのやり取りにより入手した。出版済み報告書に記載のデータは、著者とのやり取りで得た情報で補足した。言語の制限を設けなかった。

選択基準: 

出生時の在胎月齢37週未満または出生時の体重2500g未満で、人間の手で全身マッサージを受けた乳児を対象としたランダム化試験を選択した。体重増加、滞在期間、行動または発育を評価するアウトカムを少なくとも1つ、報告することとした。

データ収集と分析: 

試験から抽出したデータは、サンプル、体重増加、滞在期間、行動および発育に関するアウトカムのベースライン特性とした。生理および生化学的アウトカムは記録しなかった。データは3名のレビューアがそれぞれ抽出した。統計解析は、標準的コクラン共同計画の方法で行った。

主な結果: 

マッサージ治療により、1日体重増加量で5.1g (95% CI:3.5、6.7g)改善した。穏やかで静かなタッチが有効であるというエビデンスは得られていない(1日体重増加量:0.2g、95% CI:−1.2、1.6g)。さらに、マッサージ治療で滞在期間が4.5日(95% CI:2.4、6.5)短縮したと思われたが、このアウトカムのブラインド化に関しては方法論的な懸念がある。また、マッサージ治療は産後の合併症と4~6カ月での体重に対し、わずかだが有益な影響があるというエビデンスも認められた。しかし、含まれた試験の方法論的な質、特にアウトカムを選択して報告した点に関し深刻な懸念があるため、これらの知見の信頼性は低い。

訳注: 

《実施組織》厚生労働省「「統合医療」に係る情報発信等推進事業」(eJIM:http://www.ejim.ncgg.go.jp/)[2017.11.15]
《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、eJIM事務局までご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。eJIMでは最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。 
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