月経の出血量が多いことに対する、2つの異なる外科的治療の有効性と安全性の比較

レビューの論点

過多月経とは、女性のQOL(生活の質)に支障をきたす月経出血を言う。コクランの研究者は、過多月経を有する女性のための2つの外科的治療法を比較した。主要な(最も重要であると考えられている)ポイントは、各手術が過多月経の症状をどれだけうまく治療できたか、女性が各手術を受けることに対してどのように感じたか、どれくらいの合併症率であったかである。加えて、各手術に要した時間、術後に回復するのにかかった時間、病院と患者自身の手術費用も検討した。

背景

過多月経の外科的治療には、子宮の内側にある層(子宮内膜)を除去したり破壊したりする手術(子宮内膜切除術あるいは焼灼術)と、子宮全体の外科的除去(子宮摘出術)がある。どちらの方法も、通常、保存的治療法で症状が改善されなかった場合に、一般的には婦人科医によって提供される。子宮内膜切除/焼灼術は、外科的な切開を必要とせずに、子宮の入り口を通して(経腟的に)行われる。子宮摘出術の場合、腹部を切開して、経腟的に、または腹部の非常に小さな切開を伴う手術(腹腔鏡下手術)によって子宮を取り除く。子宮摘出術は過多月経を永久に止めるのに有効であるが、それは妊孕性(生殖能力)がなくなり、感染および失血などの手術に伴うあらゆるリスクに関連している。これらのリスクは、子宮内膜切除/焼灼術では比較的小さい。

検索日

過多月経の治療のための子宮内膜切除/焼灼術と子宮摘出術を比較する研究の系統的レビューは、コクランの研究者によって直近で2018年12月に更新されている。すべての関連する研究を検索した後、レビューの著者らは、新たに計1300人の女性を含む9件の研究を含めた

研究の特性

ランダム化比較試験(RCT)のみを対象とした。これらの研究は、参加者が2つのグループのいずれかに無作為に割り当てられ、それぞれが異なる介入を受ける研究である。その上で、2 つのグループが比較されるものである。このレビューには、過多月経の治療として、子宮内膜切除術または焼灼術と子宮摘出術を比較したRCTを含んだ。研究には、閉経した女性、または子宮癌(または前癌状態)に罹患した女性は含まれていなかった。

主要な結果と結論

研究のレビューは、子宮内膜切除/焼灼術は、追加の手術を伴う再治療が必要な場合があるが、子宮摘出術に対して、より回復が速く、効果的かつおそらく安価な代替手段であることを明らかにした。子宮摘出術は、症状をより決定的に改善するが、手術時間が長く、外科的合併症の可能性が高い。両方の手術とも、女性は全般的に、手術を受けることは受け入れられ、自分の経験に満足していると報告した。

腹腔鏡下子宮摘出術は、より広く使用されるようになり、入院期間、復職までの時間、通常の活動に復帰するまで時間などのいくつかのアウトカムは、子宮内膜焼灼術と同等になっている。しかし、腹腔鏡下子宮摘出術は、他の子宮摘出術に比べて手術時間が長くなることが多く、特殊な手術の専門知識と機器を必要とする。

有害性の特定

両方の外科的治療は、一般的に安全であると考えられ、合併症率は低い。しかし、子宮摘出術は、感染症、輸血の必要性、および血腫(手術後の軟部組織に血液が溜まること)の発生率が高いことに関連している。

エビデンスの質

このレビューで報告されたエビデンスの質は中等度から低度であり、さらなる研究が結果を変える可能性を示唆している。これは、女性の出血に対する認識や過多月経に対して更なる手術を必要とする女性の割合などのアウトカムに当てはまる。

訳注: 

《実施組織》杉山伸子 小林絵里子 翻訳[2020.4.13]
《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、コクランジャパンまでご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。 
《CD000329.pub3》

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