最近脳卒中となった患者における飲み込みと栄養不良に伴う問題に対する介入

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脳卒中には、しばしば飲み込みの問題(嚥下障害)および栄養不良による問題が合併します。飲み込みの問題がある人が通常の経口栄養を受けると、肺炎が起こり死亡する危険性が上昇します。飲み込みを改善させる治療は、飲み込む機能の回復を促進し肺炎が発症する危険性が減少するよう計画されています。6,779名の患者(平均年齢71歳)を対象とした33件の研究のレビューを行いました。鍼療法および行動介入により飲み込み障害が減少するというある程度のエビデンスはありましたが、薬物療法、神経筋電気刺激、咽頭電気刺激、身体刺激、経頭蓋直流刺激、および経頭蓋磁気刺激の役割は依然として不明でした。栄養チューブから胃に直接流動食を投与することもあり、食道を通る経鼻胃チューブ(NGT)から、または経皮的内視鏡下胃瘻造設術(PEG)チューブから直接胃に投与する場合があります。脳卒中後早期に経管栄養を開始(NGTまたはPEGのいずれかによる)することにより死亡が減少しますが、入手した情報による結論は出ていません。長期の栄養法が必要な場合は、PEGの方がNGチューブに比べて、十分に栄養を供給でき安全です。利用可能な試験のエビデンスでは、口から食物を摂取できる急性脳卒中患者におけるタンパクおよびエネルギー補充のルーチンの使用を支持してはいません。補充は栄養不良の徴候がある患者で、褥瘡を減少させるなどの利益があることが示されています。

著者の結論: 

急性または亜急性脳卒中の嚥下障害患者において、嚥下療法、栄養法、ならびに栄養および水分補充が機能的アウトカムおよび死亡に及ぼす効果に関するデータは、依然として不十分であった。行動介入および鍼療法により嚥下障害が減少し、咽頭電気刺激により咽頭通過時間が減少した。NGT栄養法に比べて、PEGでは治療失敗および消化管出血が減少し、栄養供給およびアルブミン値が高くなった。栄養補充は、褥瘡の減少、ならびにエネルギーおよびタンパク摂取増加に関連していた。

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背景: 

嚥下障害(飲み込みの問題)は、脳卒中後に高頻度にみられ胸部感染および栄養不良を起こす可能性がある。嚥下障害があり栄養不良の脳卒中患者のアウトカムは不良である。

目的: 

急性期および亜急性期(発症後6ヵ月以内)脳卒中患者における嚥下障害の治療(嚥下療法)ならびに栄養および水分補充に対する介入の有効性を評価すること。

検索方法: 

Cochrane Stroke Group Trials Register(2012年2月)、MEDLINE(1966~2011年7月)、EMBASE(1980~2011年7月)、CINAHL(1982~2011年7月)、Conference Proceedings Citation Index- Science(CPCI-S)(1990~2011年7月)を検索した。関連性のある試験およびレビュー論文の参考文献リスト、Current Controlled Trialsを検索し研究者らに連絡を取った(2011年7月)。本レビューの前回の版では、Royal College of Speech and Language Therapistsおよび器具の製造会社に連絡を取った。

選択基準: 

脳卒中が組み入れの6ヵ月以内に起こった、嚥下障害の脳卒中患者およびすべての脳卒中患者における栄養補充を対象としたランダム化比較試験(RCT)。

データ収集と分析: 

2名のレビューアが別々に選択基準を適用し、試験の質を評価し、データを抽出し、あらゆる不一致を3人目のレビューアと討議して解決した。ランダム効果モデルを用いてオッズ比(OR)、95%信頼区間(95%CI)、および平均差(MD)を算出した。主要アウトカムは、試験終了時の機能的なアウトカム(死亡または依存性、もしくは死亡または能力障害)であった。

主な結果: 

6,779名の参加者を対象とした33件の研究を選択した。 嚥下療法:鍼療法、薬物療法、神経筋電気刺激、咽頭電気刺激、身体刺激(熱刺激、触覚刺激)、経頭蓋直流刺激、経頭蓋磁気刺激はそれぞれ、死亡数、複合死亡数、介護の程度に対する有意な効果はなかった。試験終了時の嚥下障害は、鍼療法[研究数4件、参加者数256名、OR 0.24、95%CI 0.13~0.46、P < 0.0001、I2 = 0%)および行動介入(5件、423名、OR 0.52、95%CI 0.30~0.88、P = 0.01、I2 = 22%)により減少した。栄養法:経皮的内視鏡下胃瘻造設術(PEG)および経鼻胃管(NGT)による栄養法は、死亡数、複合死亡数、介護の程度についてはなかったが、PEGは治療失敗(3件、72名、OR 0.09、95%CI 0.01~0.51、P = 0.007、I2 = 0%)および消化管出血(1件、321名、OR 0.25、95%CI 0.09~0.69、P = 0.007)が少なく、栄養投与(1件、30名、MD 22.00、95%CI 16.15~27.85、P < 0.00001)およびアルブミン値(3件、63名、MD 4.92 g/L、95%CI 0.19~9.65、P = 0.04、I2 = 58%)が高かった。ループ型NGTと従来のNGT栄養法は、試験終了時の死亡数、複合死亡数、介護の程度についてはなかったが、栄養投与はループ型NGTの方が高かった(1件、104名、MD 18.00%、95%CI 6.66~29.34、P = 0.002)。栄養法の時期:栄養法開始遅延と比べて早期栄養法に死亡数、複合死亡数、介護の程度についてはなかった。水分補充:水分補充により、死亡数、複合死亡数、介護の程度についてはなかった。栄養補充:栄養補充により、死亡数、複合死亡数、介護の程度についてはなかった。しかし、栄養補充は、褥瘡の減少(2件、4,125名、OR 0.56、95%CI 0.32~0.96、P = 0.03、I2 = 0%)、ならびに定義により、エネルギー摂取(3件、174名、MD 430.18 kcal/日、95%CI 141.61~718.75、P = 0.003、I2 = 91%)およびタンパク摂取(3件、174名、MD 17.28 g/日、95%CI 1.99~32.56、P = 0.03、I2 = 92%)増加に関連していた。

訳注: 

監  訳: 内藤 徹,2013.2.19

実施組織: 厚生労働省委託事業によりMindsが実施した。

ご注意 : この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、Minds事務局までご連絡ください。Mindsでは最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、編集作業に伴うタイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。

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