急性期脳卒中において血圧を意図的に変化させる薬物介入法

背景:脳卒中(脳の動脈の閉塞や破裂による突然の脳の病気)を起こしたばかりの人では、血圧が非常に高くなったり低くなったりすることが有害な場合がある。そのため、低血圧を上げる薬や高血圧を下げる薬が有効な場合がある。急性期脳卒中で入院した人の最大50%が入院時に血圧を調整する薬を服用しているが、急性期にこれらの薬を継続すべきか中止すべきかは明確ではない。このレビューでは、意図的に血圧を変化させた試験や、脳卒中前に服用していた血圧を下げる薬の継続と中止を比較した試験を対象とした。

研究の特徴:このレビューは2014年5月までのものである。17,011人の参加者を含む26件の試験を対象にした。血圧を下げることを評価した試験が24件、血圧を上げることを評価した試験が1件、脳卒中前に服用していた薬をどうするかを評価した試験が2件あった。すべての研究は、脳卒中患者の治療を日常的に行っている病院で行われた。すべての試験がすべての結果に関する情報を提供していたわけではなく、このレビューでは出版物で入手可能なデータを使用した。

主要な結果:血圧を下げることで、急性脳卒中患者の命を救ったり、障害を軽減したりするというエビデンスは十分ではない。脳卒中前に服用していた血圧を下げる薬をすぐに再開すると、障害が増加する可能性がある。

結論:急性期脳卒中において、血圧を変化させることが最も効果的であると思われる人々、治療が効果的であると思われる時期、どのようなタイプの脳卒中が効果的であると思われるか、また、日常的にそのような治療を行うのに最適な環境を特定するためには、さらなる研究が必要である。

訳注: 

《実施組織》 堺琴美、冨成麻帆 翻訳[2021.10.19]《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、コクランジャパンまでご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。 《CD000039.pub3》

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