慢性閉塞性肺疾患(COPD)の安全かつ有効な吸入薬の組み合わせはどちらか

背景

慢性閉塞性肺疾患(COPD)は、長期にわたる咳、痰および呼吸困難を特徴とする肺の病気である。現在、長時間作用性抗コリン薬+長時間作用型β刺激薬(LAMA+LABA)、長時間作用型β刺激薬+吸入ステロイド(LABA+ICS)の2種類の合剤が1つの吸入器で使用可能である。最近のガイドラインでは、LABA+ICSよりLAMA+LABAの投与を推奨している。

研究の特性

COPD患者に対するLAMA+LABAおよびLABA+ICSの効果と副作用を比較した9839人の参加者を対象とした11の試験を組み込んだ。

主な結果

重篤な副作用と死亡のリスクはどちらの治療でも変わらなかった。LABA+ICSと比べ、LAMA+LABAは、増悪と呼ばれる一時的な症状悪化のリスクが低く、肺炎の発症が少なく、呼吸機能および日常生活上の症状が良好に改善した。

エビデンスの質

解析された研究のほとんどは製薬会社の支援を受けていたため結果を慎重に解釈する必要があるが、これらの研究は概ね許容される方法で実施されていた。今研究のデータは、主に中等度から重症のCOPD患者を対象とした1年未満の観察期間の研究に基づいている。今研究の結果には弱いまたは中等度の確証がある。

著者の結論: 

COPDの治療において、LAMA+LABA治療群では増悪が少なく、一秒量の改善が大きく、肺炎の危険性が低く、SGRQ4点以上の生活の質の改善が高頻度に観察された。これらの結果は、中等度から重症のCOPD患者を対象にした観察期間が1年未満で互いに異質な研究による、中等度から低い質のエビデンスに基づいている。この結果はGOLD2017ガイドラインの変更を支持する。

アブストラクト全文を閲覧
背景: 

長時間作用型β刺激薬(LABA)、長時間作用性抗コリン薬(LAMA)、および吸入ステロイド(ICS)の3系統の吸入薬は慢性閉塞性肺疾患(COPD)を管理するために使用される。2系統の薬剤が必要な場合、LAMA+LABAまたはLABA+ICSが選択されることが多い。なぜなら、これらの組み合わせは単一の吸入デバイスにより投与することが可能だからである。以前のGlobal Initiative for Chronic Obstructive Lung Disease(GOLD)のガイドラインは、増悪高リスクであるGOLDカテゴリーCおよびDの安定期のCOPD患者を管理するための第一選択治療としてLABA+ICSを推奨していた。しかし、新しいGOLD2017ガイドラインでは、LABA+ICSよりLAMA+LABAの投与を推奨している。

目的: 

安定期のCOPD患者の治療におけるLAMA+LABAとLABA+ICSの効果と副作用を比較するため。

検索戦略: 

Cochrane Airways Group Specialized Register(2016年2月2日)、ClinicalTrials.gov(2016年6月4日)、World Health Organization Clinical Trials Search Portal(2016年6月4日)を用いた電子検索を行い、さらにハンドサーチ(2016年6月5日)を行った。2人のレビュー著者が、選択した論文を精査して組み込み論文を決定した。

選択基準: 

個人単位でランダム化を行った、並行群間比較試験およびクロスオーバー比較試験にて、安定期のCOPDに対するLAMA+LABAおよびLABA+ICSを比較した研究を対象とした。試験観察期間の最短値は1ヶ月とし、外来患者のみを対象とした。

データ収集と分析: 

2人のレビュー著者が独立してデータを抽出し、バイアスのリスクを評価した。レビュー著者間の相違は話し合いにて解決した。二値変数はオッズ比(OR)、連続変数は平均差(MD)とし、95%信頼区間(CI)を用いて、RevMan5にて分析した。増悪は、0回または1回以上の二値変数とした。

主な結果: 

9839人の参加者を含む11の研究をメタアナリシスの対象とした。ほとんどの研究は、中等度から重症のCOPD患者を対象とし、最近の増悪は除外された。最近の増悪を経験した人のみを対象とした製薬会社主導の試験が最大の研究であり、参加者の37%を占めていた。1つの研究を除くすべての研究が製薬会社の資金援助を受けていたため、「その他のバイアス」のリスクが高いと評価した。製薬会社の資金援助を受けていない1つの研究は、実行バイアス、検出バイアス、出版バイアスのリスクが高かった。

5つの研究がGOLDカテゴリーBの参加者を募集し、1つの研究はカテゴリーDの参加者を募集し、2つの研究はカテゴリーA/Bの参加者を募集し、3つの研究はカテゴリーに関係なく参加者を募集した。追跡期間は6〜52週間であった。

LABA+ICS群と比較し、LAMA+LABA群の統合された主要評価項目の結果は以下の通りである:増悪、OR 0.82(95%CI 0.70~0.96、P = 0.01、I2 = 17%、低い質のエビデンス);重篤な副作用、0.91(95%CI 0.79~1.05、P = 0.18、I2 = 0%、中等度の質のエビデンス);St. George's Respiratory Questionnaire (SGRQ)ベースラインからの変化、MD -1.22(95%CI 2.52~0.07、P = 0.06、I2 = 71%、低い質のエビデンス);トラフ一秒量ベースラインからの変化、MD 0.08L(95%CI 0.06~0.09、P <0.0001、I2 = 50%、中程度の質のエビデンス)。同様に二次評価項目の結果は以下の通りである:肺炎、OR 0.57(95%CI 0.42~0.79、P = 0.0006、I2 = 0%、低い質のエビデンス);全死亡、OR 1.01(95%CI 0.61~1.67、P = 0.88、I2 = 0%、低い質のエビデンス)、臨床的有意な最小変化量(4点)以上のSGRQベースラインからの改善、OR 1.25(95%CI 1.09~1.44、P = 0.002、I2 = 0%、中等度の質のエビデンス)。

訳注: 

《実施組織》横浜市立大学大学院 医学研究科 呼吸器病学教室、堀田信之/金子猛 翻訳[2017.9.20]
《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、コクランジャパンまでご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review、Updated reviewとも日単位で更新されています。最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。《CD012066》

Tools
Information
シェア/保存する