加齢黄斑変性症の予防および進行抑制のためのオメガ3脂肪酸

レビューの論点
オメガ3脂肪酸を食事で多く摂取することが、加齢黄斑変性症を予防および進行抑制するかどうかを検討した。

背景
加齢黄斑変性症(AMD)は、網膜の中心(眼底の光に反応する組織)に影響を及ぼす目の疾患である。AMDは詳細な視力が喪失し、読書、運転、顔の認識などに悪影響を与える。完治できる治療法がなく、AMDを予防したり進行を遅らせたりするために、修正可能なリスク因子の役割が注目されている。集団研究のエビデンスでは、オメガ3脂肪酸を比較的多く含む食事を取る人は、AMDを発症する可能性が低いことを示唆している。

研究の特性
2015年2月2日までの試験を検索した。参加総数2343例の2件の試験を同定した。試験は米国とフランスで実施され、進行疾患に進展するリスクの高いAMD患者における魚油サプリメントの使用を調査した。試験のバイアスのリスクは低いと判断した。1件は政府の助成金によるもので、もう1件は栄養補助食品製造業者の助成金によるものであった。

主な結果
オメガ3サプリメントを最長5年まで摂取しても、プラセボと比較して進行性AMDへの進展率が減少したり、視力喪失が有意に減少したりすることはないことがこれらの試験で認められた。有害作用の発生は介入群とプラセボ群で同等であった。

エビデンスの質
AMDの進展率に関するエビデンスの質は高いと判断し、その他のアウトカムのエビデンスの質は評価が正確でないことから中程度と判断した。

著者の結論: 

AMD患者にオメガ3 LCPUFAを最長5年補給しても進行性AMDの進行リスクを減少、または視力喪失が中程度から重度になるのを減少することはないことが本レビューで認められた。公表されたランダム化試験には、AMDの一次予防に対するオメガ3の食事療法を同定するものはなかった。AMDの進行を予防したり遅らせたりする明確な目的のためにオメガ3 LCPUFAの食事摂取の増加を支持する有効なエビデンスは現在のところない。

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背景: 

動物モデルやヒトの観察研究のエビデンスでは、オメガ3長鎖多価不飽和脂肪酸(LCPUFA)の食事による摂取と、加齢黄斑変性症(AMD)の発症や 進行性AMDの進行に関するリスクは、逆相関することを示唆している。

目的: 

食事におけるオメガ3 LCPUFAの増量が(オメガ3を豊富に含む食品を多く摂取する、もしくはサプリメントを摂取する)、AMDを予防したり進行を抑制したりすることを示すエビデンスを調べること。

検索戦略: 

CENTRAL(the Cochrane Eyes and Vision Group Trials Registerを含む)(2015年1号)、Ovid MEDLINE、Ovid MEDLINE In-Process、Other Non-Indexed Citations、Ovid MEDLINE Daily、 Ovid OLDMEDLINE (1946年1月~ 2015年2月)、EMBASE (1980年1月~2015年2月)、Latin American and Caribbean Health Sciences Literature Database (LILACS) (1982年1月~2015年2月)、 the ISRCTN registry (www.isrctn.com/editAdvancedSearch)、 ClinicalTrials.gov (www.clinicaltrials.gov)、the World Health Organization (WHO) International Clinical Trials Registry Platform (ICTRP) (www.who.int/ictrp/search/en)を検索した。 試験に関する電子検索では、日付や言語に制限を設けなかった。電子データベースの最終検索日は、2015年2月2日である。

選択基準: 

AMDの発症予防や進行抑制を目的とした、食事によるオメガ3 LCPUFAの増量摂取と、プラセボ、または 非介入を比較したランダム化比較試験(RCT)を選択した。

データ収集と分析: 

2名の著者が独立して試験を選択し、それらのバイアスのリスクおよび抽出データを評価した。1名がデータをRevMan 5に入力し、もう1名がデータ入力をチェックした。固定効果分散逆数モデルを使い、主要アウトカムおよびAMDの進行をメタアナリシスした。

主な結果: 

2343例のAMD患者をオメガ3脂肪酸サプリメントまたはプラセボ摂取にランダム化した2件のRCTを、本レビューに選択した。試験のバイアスのリスクは低く、米国およびフランスで実施していた。総体的にオメガ3脂肪酸サプリメントを摂取している患者が進行性AMDの進行を減少させる(または進行リスクを増加させる)エビデンスはなかった (プールされたハザード比(HR) 0.96、 95% 信頼区間(CI) 0.84 ~1.10、質の高いエビデンス) 。同様にこれらのサプリメントを摂取している患者が、15文字以上の視力を失う傾向はなかった (米国での試験HR 0.96、 95% CI 0.84 ~ 1.10; フランスでの試験36カ月時点でのリスク比(RR) 1.25、 95% CI 0.69 ~ 2.26、 参加数= 230) 。有害事象数は介入群とプラセボ群で同等であった (1件以上の重篤有害事象のある米国での試験参加者のRR 1.00、 95% CI 0.91 ~ 1.09、参加数 = 2080; フランスでの試験の総有害事象のRR 1.05、 95% CI 0.97 ~ 1.13、参加数= 263) 。

訳注: 

《実施組織》厚生労働省「「統合医療」に係る情報発信等推進事業」(eJIM:http://www.ejim.ncgg.go.jp/)[2016.1.9]
《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、eJIM事務局までご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。eJIMでは最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。

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