てんかんに対するプレガバリン単剤療法

現在の抗てんかん治療にもかかわらず、発作が治らず有害な作用を経験する人が多数みられます。 その結果、プレガバリンなどの新しい薬理作用の治療選択肢に関心が寄せられています。 このシステマティックレビューでは、てんかんの人におけるプレガバリンの有効性と安全性を評価しました。 てんかんに対しプレガバリン単剤療法による治療を受けた753名の参加者を対象とした、2件の短期ランダム化比較試験(RCT)のみを選択しました。 このレビューに選択した研究では、プレガバリンはラモトリジンより劣っているがガバペンチンよりも優れていることが示唆されましたが、 研究デザインには結果に大きな影響を及ぼしたと思われる限界がいくつか認められました。 てんかんの治療としてプレガバリン単剤療法を支持する強いエビデンスはありませんでした。 てんかん治療に対するプレガバリン単剤療法の有効性と安全性を評価するため、より長期の試験とより質の高いランダム化臨床試験が必要です。

著者の結論: 

部分てんかんと新規に診断された患者に対し、プレガバリンはラモトリジンに比べて忍容性は同程度であるが有効性は劣っているようであった。 しかし、研究デザインの限界(短期の追跡期間、選択した最初の目標投与量の低さなど)を考慮し、結果を慎重に解釈すべきである。 利用可能データが非常に限定的なため、プレガバリンとガバペンチンとの比較に何らかの結論を出すことはできなかった。 結果では、投与効果が研究実施地域により影響を受けたと示された。 ラモトリジンと比較した場合、プレガバリンの臨床的不利益性はアジアでより顕著であった。 プレガバリンにはてんかん治療で民族的差異があるのか今後検討すべきである。 本レビューでは、全般性強直間代痙攣の患者に対する新たな治療方針の情報はなかった。 単剤療法としてのプレガバリンの真の有効性を検討するためには、さらなる長期試験が必要である。

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背景: 

現在の抗てんかん治療では、多くのてんかん患者の発作を十分にコントロールできていない。 治療抵抗性の確率が高いため、プレガバリンなどの新規の薬理学的治療選択肢に関心が寄せられている。 しかし、プレガバリンの単剤療法が支持されるほど現存のエビデンスが正確なものであるかは依然として不明である。

目的: 

てんかん患者でのプレガバリンの有効性および忍容性を検討すること。

検索戦略: 

Cochrane Epilepsy Group's Specialized Register(2012年8月)、 Cochrane Central Register of Controlled Trials(CENTRAL)(コクラン・ライブラリ2012年第7号)、 MEDLINE(1946~2012年8月第1週)、EMBASE(1974~2012年8月)、 Chinese Biomedical Literature Database(CBM)(1978~2012年8月)を検索した。 言語の制限は設けなかった。

選択基準: 

てんかんに対するプレガバリンをプラセボまたは別の抗てんかん薬単剤療法と比較しているランダム化比較試験(RCT)。

データ収集と分析: 

2名のレビューア(QZ、LY)が別々に試験データを抽出し試験の質を評価した。 以下のアウトカムについて評価した: (1)ランダム化後の投与中止までの時間、 (2)6ヵ月間、12ヵ月間、24ヵ月間の寛解を得るまでの時間、 (3)連続6ヵ月以上の発作が消失した参加者の割合、 (4)ランダム化後最初の発作までの時間、 (5)妥当性のある生活の質指標、 (6)医療経済学的アウトカム、 (7)有害作用。イベント発生時アウトカムを95%信頼区間(CI)とともにハザード比(HR)として示し、 HR>1では対照薬に比べてプレガバリンでより早期にそのイベントが起こりやすいこととした。

主な結果: 

参加者753名を対象とした2件の短期研究が選択基準を満たした。 部分てんかんと新たに診断された患者を対象にラモトリジンに比べたプレガバリンの効果を検討した研究が1件と、 難治性部分てんかん入院患者を対象にガバペンチンと比べたプレガバリンの効果を検討した研究が1件のみであった。 全般性強直間代痙攣(他の全般性発作タイプの合併を問わず)に関する研究はなかった。 ランダム化から投与量安定化後の不十分な発作コントロールによる中止までの時間[ハザード比(HR)4.52、95%信頼区間(CI)1.93~10.60]、 ランダム化から投与量安定化後の6ヵ月の寛解達成までの時間(HR 0.56、95%CI 0.41~0.76)、 連続6ヵ月以上の発作消失した参加者の割合(RR 0.76、95%CI 0.67~0.87;欧州 RR0.83、95%CI 0.69~0.99;アジア RR 0.70、95%CI 0.57~0.86;米国 RR 0.62、95%CI 0.33~1.19)、 ランダム化から投与量安定化後の最初の発作までの時間(HR 1.74、95%CI 1.26~2.39)は、プレガバリンはラモトリジンに比べて劣っていた。 プレガバリンとラモトリジンに安全性関連アウトカムについて有意差はなかったが、傾眠、体重増加、痙攣を発症した参加者はプレガバリン群の方が多かった。 ランダム化後のあらゆる理由による中止までの時間(HR 0.25、95%CI 0.11~0.57)、 ランダム化後の不十分な発作コントロールによる中止までの時間(HR 0.41、95%CI 0.18~0.92)を測定した場合、プレガバリンはガバペンチンよりも優れていた。 プレガバリンとガバペンチンに安全性関連アウトカムについて有意差はなかった。 しかし、結果に影響した可能性のある研究デザインの限界をいくつか認めた。

訳注: 

監  訳: 江川 賢一,2013.2.19

実施組織: 厚生労働省委託事業によりMindsが実施した。

ご注意 : この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、Minds事務局までご連絡ください。Mindsでは最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、編集作業に伴うタイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。

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