小児における急性の重度喘息の管理に対するケタミンの役割

小児は、喘息の急性増悪のため救急部門を受診することがよくあります。中には、標準治療(副腎皮質ステロイドおよび気管支拡張薬)が効かない小児もみられ、合併症が増えることもあります。ケタミンには気管支拡張作用があり、喘息の急性増悪に有用である可能性があります。標準治療が効かない小児における、重度の急性喘息の管理に対するケタミンの有効性を評価しました。小児での重度の急性喘息の管理に対するケタミンの有用性を評価している研究は、システマティックな検索の結果、1件しか認められませんでした。この1件の研究では小児の喘息急性増悪におけるケタミンの有用性についてのエビデンスは欠如していると示唆されましたが、具体的な推奨を策定する前に急性喘息におけるケタミンの使用についてさらなる試験が必要です。

著者の結論: 

重度の急性喘息の非挿管小児の1件の研究では、有意な利益は示されず、人工呼吸器管理を受けている小児と受けていない小児双方でケタミンの利益を示している症例研究および観察報告を裏付けることはできなかった。ケタミンの重大な副作用はなかった。人工呼吸器管理を受けている小児の試験を認めなかった。ケタミンが小児の急性喘息の有効な治療であることを証明するため、臨床的に重要な客観的指標を用いた、方法論的に高品質で十分な検出力のあるランダム化試験が必要である。今後の試験では、用量の異なるケタミンについて、また重度の急性喘息のため換気を要する小児におけるケタミンの役割について探索すべきである。

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背景: 

喘息は小児で最も多い慢性疾患であり、喘息小児は急性増悪により小児救急部門を受診することが多い。急性喘息に対する標準治療[抗コリン作動薬エアゾールおよび経口または非経口投与の副腎皮質ステロイド(以下、ステロイド)併用または無併用のベータ2作動薬エアゾール]が無効な小児もいるため、救急部門での滞在時間延長、入院、罹病(圧傷害、挿管など)および、まれだが死亡が起こりうる。ケタミンは気管支けいれんを緩和し、標準治療が無効である急性喘息の小児に対する有望な治療である可能性がある。

目的: 

標準治療が無効である小児の重度の急性喘息の管理に対し、プラセボ、無介入、または標準ケアと比べたケタミンの有効性を評価すること。

検索戦略: 

Cochrane Airways Group Specialised Register of trials(CAGR)およびClinicalTrials.govから試験を同定した。その後追加された参考文献について、すべての主要研究とレビュー論文の参考文献リストをレビューした。同定した試験の著者に連絡を取り、他の発表および未発表研究の同定を求めた。最新の検索は2012年7月に実施した。

選択基準: 

標準治療が無効である急性の喘息増悪を呈した小児(18歳まで)を対象に、ケタミンをプラセボまたは標準ケアと比較しているランダム化比較試験(RCT)

データ収集と分析: 

2名のレビューアが別々に研究を選択した。データを事前に規定したプロフォーマに抽出し、2名のレビューアが別々に解析した。Review Manager 5.1を用いてデータを解析した。

主な結果: 

68名の非挿管小児を対象とした1件の研究が本レビューでの選択に適格と認められた。本研究のバイアスは低リスクまたはリスク不明であった。ケタミン(0.2 mg/kgを1~2分で急速静注後、0.5 mg/kg/時間で2時間持続注入)群とプラセボ群との間に、呼吸数、酸素飽和度、入院率[オッズ比(OR)0.77、95%信頼区間(CI)0.23~2.58]および機械的換気の必要性について有意差は示されなかった。本研究においてケタミンによる重大な副作用はなかった。群間で他の補助療法の必要性(OR 2.19、95%CI 0.19~25.40)およびPulmonary Index Score[平均差(MD)-0.40、95%CI -1.21~0.41]について差はなかった。

訳注: 

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