分娩中の女性の疼痛管理:システマティック・レビューの概要

著者の結論: 

非薬理学的疼痛管理のほとんどの方法は非侵襲的で、母体および子どもにとって安全であることが明らかであるが、その有効性は質の高いエビデンスが少ないため不明である。多くのレビューで、解析するためのアウトカムデータがあるのは1件または2件の試験のみであり、試験の総合的な方法論的質は低かった。質の高い試験が必要である。

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背景: 

分娩中に女性が経験する疼痛は複数の生理学的および心理社会的な要因に影響を受け、その強度が大きく変化する可能性がある。分娩中の女性の多くは鎮痛を必要とする。疼痛管理法には非薬理学的介入(分娩中の疼痛に対処する女性を助ける目的)および薬理学的介入(分娩時の疼痛を緩和する目的)がある。

目的: 

分娩中の疼痛管理を目的とする非薬理学的および薬理学的介入の有効性および安全性について、コクラン・システマティック・レビューから得られたエビデンスを要約すること。関連性あるコクラン・レビューがなかった場合は、コクラン以外のシステマティック・レビューの所見を考慮した。

検索戦略: 

Cochrane Database of Systematic Reviews(コクラン・ライブラリ2011年第5号)、Cochrane Database of Abstracts of Reviews of Effects(コクラン・ライブラリ2011年4号中の第2号)、MEDLINE(1966 年~2011年5月31日)および EMBASE (1974年~2011年5月31日)を検索し、分娩中の疼痛管理に関するランダム化比較試験(RCT)の関連性あるシステマティック・レビューをすべて同定した。寄稿された各コクラン・レビュー(新規9件、更新6件)は有効性および安全性に関する13項目の一般的な主要アウトカムを利用する包括的なプロトコルに従ったものであった。各コクラン・レビューにはプラセボ、標準的なケアとの比較またはあらかじめ定義された介入の階層に従った様々な介入との比較が含まれた。レビューア2名がデータを抽出し、方法論的な質を評価したほか、第三のレビューアがデータを確認した。この概要は個々のレビューから得られた結果の説明的な要約である。

主な結果: 

本概要に選択するため、コクラン・レビュー15件(試験255件が含まれた)およびコクラン以外のレビュー3件(試験55件が含まれた)を同定した。利用可能なデータのあるすべての介入について、結果を以下の比較として示す。1. 介入とプラセボまたは標準的ケアとの比較2. 同じ介入でも異なる種類の比較(例、ある種のオピオイドと別のオピオイドの比較)。3. ある種類の介入法と異なる種類の介入法の比較(例、TENSとオピオイドの比較)。すべてのレビューにあらゆる比較の結果が含まれるわけではない。ほとんどのレビューは介入をプラセボまたは標準的ケアと比較したものであったが、例外としてオピオイドおよび硬膜外麻酔を比較したものもあった。また同じ介入でも異なる種類間を直接比較したものが少数あり、異なる介入間で比較したものもさらに少数存在した。これら3種類の比較に基づき、介入を「効果があるもの」、「効果があると考えられるもの」および「判定するにはエビデンスが不十分」に分類した。 「効果があるもの」 エビデンスから、硬膜外麻酔、脊髄クモ膜下硬膜外併用麻酔(CSE)および吸入麻酔は分娩中の疼痛を効果的に抑制するが、有害作用を引き起こすことが示唆される。硬膜外麻酔および吸入麻酔は、プラセボまたはその他の異なる種類の介入(硬膜外麻酔とオピオイドの比較)と比較して、効果的に疼痛を緩和する。脊髄クモ膜下硬膜外併用麻酔(CSE)は従来の硬膜外麻酔または低用量の硬膜外麻酔より迅速に疼痛を緩和する。吸入麻酔を受けた女性は嘔吐、吐き気およびめまいを経験する可能性が高かった。 プラセボまたはオピオイドと比較して、硬膜外麻酔を受けた女性は胎児機能不全のために器械を用いた経腟分娩や帝王切開をより多く経験したが、総合的な帝王切開術の割合に差はなかった。硬膜外麻酔を受けた女性は低血圧、運動機能障害、発熱または尿閉を経験する可能性が高かった。従来の硬膜外麻酔を受けた女性より、CSEを受けた女性の方が尿閉は少なかった。低用量硬膜外麻酔よりCSEを受けた女性の方が掻痒を経験する女性が多かった。 「効果があると思われるもの」 お湯につかること、リラクセーション、鍼治療、マッサージおよび局所麻酔による神経遮断または非オピオイド系薬物は分娩中の疼痛管理を改善させ、有害作用も少ないことを示唆するエビデンスがいくつかある。エビデンスは主に単一試験に限定された。これらの介入は疼痛を緩和し、プラセボまたは標準的なケアと比較して、疼痛緩和(湯浸漬、リラクセーション、鍼治療、局所麻酔による神経遮断、非オピオイド)および出産経験(湯浸漬、リラクセーション、非オピオイド)の満足度を高めた。リラクセーションを実施した場合は補助を要した経腟分娩が少なく、鍼治療は補助を要した経腟分娩ならびに帝王切開が少なかった。 「エビデンスが不十分」 分娩中の疼痛管理について、催眠術、バイオフィードバック、滅菌水の注射、アロマテラピー、TENSまたはオピオイドの非経口投与がプラセボまたはその他の介入より効果的かどうかを判断するにはエビデンスが不十分である。他のオピオイドと比較して、ペチジンの投与を受けた女性の方が、眠気および吐き気などの有害作用を経験する割合が多かった。

訳注: 

監  訳: 江藤 宏美,2012.7.24

実施組織: 厚生労働省委託事業によりMindsが実施した。

ご注意 : この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、Minds事務局までご連絡ください。Mindsでは最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、編集作業に伴うタイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。

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