切除不能IV期大腸癌の無症候性患者における原発癌を手術で切除すべきか

進行大腸癌患者の大多数は治癒することができない。体中に癌が拡がっており切除できないからである。これらの患者の多くで、問題である原発の癌は比較的無症候性であるため、患者は自覚していない。大半のこれらの患者は化学療法と放射線治療の併用を受ける。臨床的見地から、これらの患者の管理における大きな問題は原発癌をどうするかということである。原発癌切除により生存が延長され、閉塞や出血といった癌の合併症を予防できると示唆する研究もある。本レビューでは、癌発癌の手術切除が進行した切除不可能な大腸癌患者に有益かという疑問に取り組んだRCTを同定できなかった。

著者の結論: 

切除不能IV期大腸癌患者で化学療法/放射線治療を受けた無症候性患者における原発腫瘍切除は、全生存の一貫した改善に関連していなかった。さらに、切除による原発腫瘍の合併症(閉塞、穿孔、出血)リスクの有意な低減は認められなかった。この領域でのさらなる臨床試験を正当化する発表文献に関しては、十分な疑問がある。進行中の高品質RCTによる結果がこの疑問の回答に役立つと考えられる。

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背景: 

IV期大腸癌患者の大多数において、転移病変は切除不能であり、管理の焦点は最良の緩和ケアをどのように行うかということである。原発腫瘍の管理は緩和ケアの重要な一部である。これらの患者のうち少数は、癌の閉塞または穿孔により緊急手術を要する。しかし、大多数の原発腫瘍は比較的無症候性である。化学療法によりこれらの患者の生存の延長が示されており、大多数は化学療法を受けている。しかし、最近のメタアナリシス(Stillwell 2010)により、原発腫瘍切除を受けた患者での全生存の改善と緊急手術の必要性の減少が示唆された。本レビューでは、原発腫瘍切除に関連した死亡率および罹病率を定量化することができた。

目的: 

切除不能IV期大腸癌で化学療法/放射線治療を受けた無症候性原発腫瘍を有する患者を対象に原発癌の切除後の全生存の改善があるか検討すること。

検索戦略: 

2012年1月、以下の電子的データベース: CENTRAL(コクラン・ライブラリ 最新号)、MEDLINE(1966年~)、EMBASE(1980年~)、Science Citation Index(1981年~)、ISI Proceedings(1990年~)、Current Controlled Trials MetaRegister(最新号)、Zetoc(最新号)、CINAHL(1982年~)を用いて、発表されたランダム化比較試験(RCT)および非ランダム化比較試験について言語の制限なく検索した。

選択基準: 

切除不能IV期大腸癌患者で緩和的化学療法/放射線治療を受けた無症候性患者を対象に非切除と比較した原発腫瘍切除の全生存に対する影響を評価している、RCTおよび非ランダム化比較研究。

データ収集と分析: 

コクラン共同計画およびCochrane Colorectal Groupの勧告に従って本レビューを実施した。Review Manager 5ソフトウェアを使用した。

主な結果: 

総数798件の研究を最初の検索後に同定した。切除不能IV期大腸癌患者で化学療法/放射線治療を受けた無症候性患者を対象に原発腫瘍切除を非切除と比較した、発表または未発表のRCTは同定されなかった。適格な可能性を有する7件の非ランダム化研究を同定し、2件は症例対照研究、2件はCCT、3件は後ろ向きのコホート研究であった。全体として、これらの試験には患者1,086名(原発腫瘍切除722名、最初に化学療法または放射線治療あるいはその両方を受けた患者364名)が組み入れられていた。

訳注: 

監  訳: 吉田 雅博,2012.12.27

実施組織: 厚生労働省委託事業によりMindsが実施した。

ご注意 : この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、Minds事務局までご連絡ください。Mindsでは最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、編集作業に伴うタイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。

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