アウトカム改善を目的とした、胎児状態不良疑いの早期産児の急速娩出または待機的分娩

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子宮内の胎児が十分な酸素や栄養を受けていないと懸念される場合、胎児の肺成熟を促すステロイドを1コース投与後すぐに出生させる、あるいは安全と考えられるまで待機するという、いずれかの方法を選択する。待機により胎児をできるだけ成熟させ、未熟性に関連したリスクを低下させることができる。新生児の未熟性により、呼吸窮迫、低体温(体温の低下)、低血糖、感染、黄疸が起こりうる。子宮内に留まらせることにより、酸素欠乏による重要な器官の障害が発現するおそれがある。本レビューの目的は、どちらの管理法が母体および出生児によい選択か評価することであった。 妊娠24~36週の女性548名(出生児588名)の1件のランダム化研究を選択した。本研究は1993~2001年に13ヵ国で実施された。主治医により、胎児の発育に問題があると疑われているが、急速娩出が適応か不明の場合の女性を対象とした。急速娩出または医師が必要と考えた場合の分娩のいずれかにランダムに割付けた。 胎児状態不良疑いで早期産児を分娩させるべきか不明の場合、急速娩出による利益はないようであった。群間に2歳の時点で、死亡および障害について差はなかった。むしろ急速娩出群の女性の方が、帝王切開が多く、急速娩出された出生児の方が24時間以上の人工呼吸器をつけた者が多かった。2歳時の脳性麻痺数は急速娩出群の方が多かったが、2歳以上の時点での神経発達障害および小児期(6~13歳)の死亡・障害について差はなかった。待機的分娩の方が好ましいと思われるが、これらの所見を確認し新生児死亡の差を確定するため、さらなる研究が必要である。2群間でのランダム化から分娩までの時間の差の中央値は4日であった。

著者の結論: 

早期産児状態不良が疑われる場合、待機的分娩に比べた急速娩出の利益および有害性に関して、臨床診療ガイドとなる確実な推奨ができるエビデンスは現在、不十分であった。状態不良疑いの早期産児を出生させるべきかどうか不明であり、急速娩出に利益はないように思われる。検査結果の悪化まで、あるいは分娩に適する週数まで分娩を遅延することにより、母体および出生児のアウトカムが改善する可能性がある。臨床実践のガイドとなるようなさらなる研究が必要である。

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背景: 

状態不良が疑われる早期産の胎児の急速娩出により、子宮内低酸素症による障害のリスクが低下する可能性がある。しかし、早産によるリスクも上昇する。

目的: 

新生児アウトカム、母体アウトカムおよび長期アウトカムに対する、胎児状態不良疑いの早期産児の急速娩出の効果を、待機的分娩と比較評価すること。

検索戦略: 

Cochrane Pregnancy and Childbirth Group's Trials Register(2012年2月27日)を検索した。

選択基準: 

胎内状態不良疑いの早期産児を対象に、急速娩出方針を待機的分娩または待機的管理と比較しているランダム化試験。準ランダム化試験およびクラスターランダム化試験も適格としたが、同定した試験はなかった。

データ収集と分析: 

2名のレビューアが本レビューの選択について、試験を別々に評価した。2名のレビューアが試験の質を評価し、データを抽出した。データの正確性についてチェックした。

主な結果: 

本レビューにおいて女性548名(出生児588名)の1件の試験を選択した。急速娩出を待機的分娩と比較した場合、主要アウトカムの周産期死亡率の上昇[リスク比(RR)1.17、95%信頼区間(CI)0.67~2.04]および2年以降の死亡または障害からなる複合アウトカム(RR 1.22、95%CI 0.85~1.75)に差はみられなかった。急速娩出群の出生児の方が24時間を超えての人工呼吸器管理を受けた児が多かった(RR 1.54、95% CI 1.20~1.97)。急速娩出群と待機的分娩群との間に、他の個々の新生児罹病率および新生児罹病率のマーカー(臍帯血pH7.00未満、5分後アプガースコア7点未満、痙攣、脳室内出血、あるいは脳室上衣下胚層出血、壊死性腸炎および脳室周囲白質軟化症または脳室拡大)について差はみられなかった。 急速娩出群の出生児の方が2歳以上での脳性麻痺が多かった(RR 5.88、95%CI 1.33~26.02)。しかし、2歳以降の神経発達障害(RR 1.72、95%CI 0.86~3.41)および小児期(6~13歳)の死亡・障害(RR 0.82、95%CI 0.48~1.40)に差はみられなかった。急速娩出群の女性の方が待機的分娩群に比べて帝王切開が多かった(RR 1.15、95% CI 1.07~1.24)。他の母体アウトカムは入手できなかった。

訳注: 

監  訳: 江藤 宏美,2012.11.14

実施組織: 厚生労働省委託事業によりMindsが実施した。

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