菌状息肉症(最初は皮膚が侵される血液細胞の悪性疾患)の治療

菌状息肉症は、ヒトの免疫担当細胞により皮膚が侵される慢性の悪性疾患である。この疾患は、年齢や民族に関わらず罹患する可能性がる。菌状息肉症は、一定の順で典型的に発現する身体的症状を呈することがあり、それにより疾患の病期分類ができる。通常、この疾患は、体幹および四肢に生じる斑点で始まる。しばらくすると(しばしば数年)、これらの斑点は斑に進行し、さらに進行すると充実性の腫瘤になる場合がある。リンパ節や他の臓器も侵される可能性があるが、この疾患は他の悪性疾患に比べ、ほとんどの場合進行が遅い。疾患早期での平均余命は、菌状息肉症を有しない人と同程度であるが、後期菌状息肉症の予後は不良である。

この疾患の治療には、クリームや軟膏による局所療法、薬剤の局所注射、紫外線または放射線照射、あるいは化学療法などの複数の治療選択肢が用いられる。これらは治癒にはつながらないが、斑点や斑の痒みやひりひり感などの症状を緩和する。

合計30本の刊行物から、参加者675名を対象とした14件の研究を発見した。ほとんどの研究(8件)は、参加者が50名未満で実施期間は12カ月未満であった。これらの研究で、治療の違いの観点から参加者のQOLを比較したものはなかった。また、特定の療法と「経過観察」戦略とを比較した研究もなかった。

ほとんどの研究には、治療法によっては中等度の症状から生命に関わる重度あるいは致死的な合併症まで、有害事象の記述があった。全身化学療法のようなより積極的な治療法では、皮膚に直接塗布する局所療法よりも多くの有害事象が認められた。長期的な有益性(例えば疾患の全症状が2年以上消失)を報告する試験はなかった。したがって、これらの研究からの結論の取扱いには慎重を期すべきである。

菌状息肉症は、重度の有害事象の限界に注目しながら、疾患の進行度に応じて治療すべきである。この疾患を管理し、また治癒が期待できる可能性のある治療戦略を評価する効果的な方法を探るため、大規模で適切に設計された研究が必要に迫られている。菌状息肉症の人は、そのような臨床試験へ参加するよう奨励する。

著者の結論: 

本レビューは、菌状息肉症に対する様々な局所性および全身性の介入に関する試験のエビデンスを同定した。試験デザインに大きな異質性があったこと、サンプルサイズが小さかったこと、また方法論的に質が低かったことから、これらの介入について、選択したRCTに基づく相対的な安全性と有効性は確立されていない。重篤な有害事象の可能性や得られた有効性データが限られていることを考慮すると、特に本疾患の早期においては局所療法および皮膚外用薬の治療を第一に推奨する。より積極的な治療レジメンにより、病変の改善あるいは消失の可能性はあるが、結果的に有害事象もより多く発現する。したがって、それらは慎重に検討されるべきである。菌状息肉症の全病期に適用する比較可能で明確に定義されたエンドポイントを設定し、アウトカム指標の一つとして、安全性やQOLおよび寛解期間に焦点を当てた大規模試験が求められる。

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背景: 

菌状息肉症は最も一般的な皮膚T細胞リンパ腫であり、最初は皮膚が侵される悪性の慢性疾患である。複数の治療法があり、一時的に臨床的寛解が得られることもある。

目的: 

病期を問わず菌状息肉症に対する介入の効果を評価すること。

検索戦略: 

以下の2011年1月までのデータベースを検索した。Cochrane Skin Group Specialised Register、The Cochrane LibraryのCENTRAL、MEDLINE(2005年以降)、EMBASE(2010年以降)、およびLILACS(1982年以降)。関連のあるランダム化比較試験(RCT)に関しさらに参考文献を求めて、選択した研究の参考文献リストをも確認した。さらに未発表試験の参考文献を求めて、オンライン試験登録を検索した。また、非ランダム化比較試験での菌状息肉症に対する介入による有害事象について、2011年5月にMEDLINEの検索を個別に実施した。

選択基準: 

病期を問わず、菌状息肉症患者に対する介入のRCT。90%を超える試験参加者が、菌状息肉症(Alibert-Bazin型)の診断を受けているものとした。

データ収集と分析: 

レビューア2名が独立して、各研究の適格性と方法論的質を評価し、データ抽出を実施した。不一致はすべて討議により解決した。主要アウトカムは、QOLに対する効果および介入の安全性であった。入手可能な場合、副次アウトカムとした皮膚病変の改善または消失、無病期間、生存率、再燃率、および稀な有害事象に関し報告した。可能な場合は、メタアナリシスのため同種の研究を統合した。コクラン共同計画の「バイアスのリスク」ツールを用い、選択した研究すべてに対し異なる6領域で、内部妥当性チェックを実施した。

主な結果: 

本レビューには、総参加者675名を対象に多岐にわたる介入を実施した14件のRCTを選択した。選択した試験のうち11件は、病期IA期からIIB期の参加者に限定して評価を実施していた。

バイアスのリスクが「high」あるいは「unclear」の研究で、内部妥当性チェックは著しく低い結果であった。これは主として、研究著者に連絡を取った後でも方法論的質が低いことあるいは欠損値が理由であり、平均中断率は26%(0%~72%)であった。研究規模は、概して小規模であり、参加者数は最低4名から最大103名であった。1件の研究のみ、フォローアップ期間を十分にとり、信頼性の高い生存期間解析結果を出していた。

選択した研究は、イミキモド、ペルデシン、ヒペリシン、ナイトロジェンマスタード、およびインターフェロンの病巣内注射などの局所療法を評価していた。検討されていた光線療法は、ソラレン+長波紫外線(PUVA)、ソラレン+体外フォトフェレーシス(光化学療法)、およびソラレン+可視光線であった。経口薬には、アシトレチン、ベキサロテン、およびメトトレキサートが用いられていた。非経口全身療法には、デニロイキンジフチトクス、化学療法と電子線照射の併用、および活性伝達因子の筋肉内注射を用いていた。9件の研究で実薬対照を用いて治療を評価しており、5件の研究はプラセボを対照群とするRCTであった。

12件の研究が一般的な有害事象を報告していたが、QOLを評価していたのは2件のみであった。これらの研究はいずれも、異なる治療を受けた参加者の健康関連QOLを比較していなかった。報告があった有害事象のほとんどは、介入に起因していた。全身療法、とりわけここでは化学療法と電子線、ベキサロテン、あるいはデニロイキンジフチトクスを併用した治療レジメンで、局所療法または皮膚外用薬に比べ有害事象がより多く発現していた。

選択した試験では、消失率は0%から83%、改善は0%から88%であった。IFN-αとPUVAの併用効果と、PUVA単独の効果とを比較した2件の試験結果を統合したメタアナリシスからは、消失の相対リスクに有意差は認められなかった(相対リスク:1.07、95%信頼区間:0.87~1.31)。選択した研究のいずれにおいても、無病期間、再燃、または全生存率に有意な増加は示されなかった。

訳注: 

《実施組織》厚生労働省「「統合医療」に係る情報発信等推進事業」(eJIM:http://www.ejim.ncgg.go.jp/)[2016.7.28]
《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、eJIM事務局までご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。eJIMでは最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。

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