ギラン・バレー症候群に対する、副腎皮質ステロイド薬、免疫グロブリン静脈内投与および血漿交換以外の薬物療法

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ギラン・バレー症候群(GBS)は、神経の炎症によって急性のまひを引き起こす疾患である。GBSの人のうち3.5%~12%が急性期の合併症により死亡する。患者の1/4が人工換気を必要とする。回復には数週間~数カ月かかり、しばしば後遺症が残る。ステロイド薬を除き、血漿交換(有害物質を血液から除去する)や免疫グロブリン静脈内投与(献血から採取したヒト抗体を血流に注入する)は有効である。現在の治療法では不十分なため、新規の治療法を見出す必要がある。GBSに対して上記以外の薬剤を使用したランダム化比較試験(RCT)を検索した。本レビューの初回版ではきわめて質の低いエビデンスしかなく、今回の更新でも新規のエビデンスはなかった。13例のみを対象とした1件のRCTでは、多発性硬化症に有効な薬剤であるインターフェロンβ-1aについて調べた。10例のみを対象とした2つめの試験では、理論的に有効と考えられる神経成長因子について調べた。37例を対象とした3つめの試験では、脳脊髄液濾過(脊髄周囲の神経根を洗浄する)と血漿交換を比較した。これらの試験は、急性GBSにおける有益性や有害性を確定したり否定したりするには規模が不十分であった。20例を対象とした4つめの試験では、漢方薬のtripterygium polyglycosideがステロイド薬よりも早く障害を改善することを示したが、本結果についてはさらなる研究を要する。重篤な有害事象はこれらの治療法のいずれにおいてもまれで、コントロール群の治療法よりも発生頻度が有意に低かった。RCT以外のエビデンスはきわめて少なかった。新規の治療法の開発と調査が必要である。

著者の結論: 

エビデンスの質はきわめて低かった。インターフェロンβ-1a、脳由来神経栄養因子、および脳脊髄液濾過に関する3件の小規模RCTでは、有意な有益性や有害性は示さなかった。4つめの小規模試験では、漢方薬のtripterygium polyglycosideがステロイド薬よりも有意に回復を促進したが、本結果については確認を要する。観察研究が少なく、有用な結論を出すことが出来なかった。

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背景: 

ステロイド薬を除き、血漿交換や免疫グロブリン静脈内投与は、ギラン・バレー症候群(GBS)に有効である。その他の薬剤の有効性については不明である。本レビューは2011年に初版を発表し、2013年に今回の更新を行った。

目的: 

血漿交換、免疫グロブリン静脈内投与、およびステロイド薬以外の薬剤に関するランダム化比較試験(RCT)のエビデンスを体系的に調査すること。

検索方法: 

2012年8月28に、GBSの治療に関して以下を検索した。the Cochrane Neuromuscular Disease Group Specialized Register CENTRAL(2012年8号コクラン・ライブラリ)、MEDLINE(1966年1月~2012年8月)、およびEMBASE(1980年1月~2012年8月)。非ランダム化研究のエビデンスについては考察で検討した。

選択基準: 

すべての種類、年齢層、および重症度の急性GBS(発症から4週間以内)に関するあらゆるRCTおよび準RCTを選択した。ステロイド薬、免疫グロブリン静脈内投与、または血漿交換のみについて調べた試験は選択しなかった。その他の薬物療法や併用療法と、無治療、プラセボ治療、または別の治療を比較した試験を選択した。

データ収集と分析: 

4週間後の障害の変化を主要アウトカムとした。2名のレビューアが独立して参考文献リストを調べ、データを抽出した。Review Manager(RevMan)へのデータ入力を1名のレビューアが行い、もう1名がチェックした。Cochrane Handbook for Systematic Reviews of Interventionsに基づいてバイアスのリスクを評価した。平均差およびリスク比を、 95%信頼区間と共に算出した。GradeProソフトウェアを用いてエビデンスの強さを評価した。

主な結果: 

4つの異なる介入を同定したが、エビデンスの質はきわめて低いもののみであった。本レビューの今回の更新では、新規の試験はなかった。13例を対象とした1件のRCTでは、インターフェロンβ-1aとプラセボを比較し、すべてのアウトカムで有意差がみられなかった。10例を対象とした2つめの試験では、脳由来神経栄養因子とプラセボを比較し、すべてのアウトカムで有意差がみられなかった。37例を対象とした3つめの試験では、脳脊髄液濾過と血漿交換を比較し、すべてのアウトカムで有意差がみられなかった。20例を対象とした4つめの試験では、8週間後の障害等級の1つ以上の改善に関するリスク比が、漢方薬のtripterygium polyglycosideでステロイド薬よりも有意に増加した(リスク比1.47;95%信頼区間1.02~2.11)。重篤な有害事象はこれらの治療法のいずれにおいてもまれで、コントロール群の治療法よりも発生頻度が有意に低かった。

訳注: 

《実施組織》厚生労働省「「統合医療」に係る情報発信等推進事業」(eJIM:http://www.ejim.ncgg.go.jp/)[2016.1.6]
《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、eJIM事務局までご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。eJIMでは最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。

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