分娩時胎児評価のための胎児心拍陣痛図以外の入院時検査

約1,200万人の出生児のうち毎年400万人の児が新生児仮死で誕生している。そのうち、およそ百万人の新生児はうまく蘇生されていない。胎児心拍数の変化は脳損傷に先行して監視することができる。分娩のために病院に入院した女性にいくつかの検査を適用することは、胎児ストレスを特定し、有害アウトカムを予防するための帝王切開などのタイムリーで効果的な介入を可能にする。胎児の入院時検査とは、超音波トランスデューサ・ドップラー(胎児心拍陣痛図)を母体の腹部に当てて胎児心拍を20分間監視することや子宮収縮、音刺激による胎動、胎児の呼吸様運動、リアルタイム超音波検査を用いた推定羊水量の測定などから構成される。

このレビューでは、妊娠26〜42週および早期分娩により米国の三次医療機関(1992年7月から1993年1月まで)に入院した883名の女性を含む、1件のランダム化比較試験を同定した。女性が入院したときの羊水量を測定しても児のアウトカムは改善されなかったが、胎児機能不全による帝王切開率は増加もしくは倍増した。入院時検査を受けた女性群では、検査を受けなかった女性群よりも分娩促進のためのオキシトシン製剤の使用率も高かった。エビデンスが限られているため(サンプル数が少ない1つの試験のみ)、有意義な結論や勧告を行うことはできない。さらなる研究が必要である。

著者の結論: 

分娩時胎児評価のためのCTG以外の入院時検査の実施を支持するエビデンスは不十分である。分娩時胎児評価のためのCTG以外の入院時検査に関する、サンプル・サイズが十分な質のよいランダム化比較試験が必要である。

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背景: 

周産期の有害アウトカム予防における胎児心拍陣痛図(CTG)以外の入院時検査の利益については、エビデンスが確立されていない。

目的: 

周産期の有害アウトカム予防におけるCTG以外の入院時検査の有効性を評価すること。

検索方法: 

Cochrane Pregnancy and Childbirth Group's Trials Registerを検索した(2011年3月31日)。

選択基準: 

周産期の有害アウトカムを予防するためのCTG以外の分娩入院時検査を比較したランダム化比較試験(個々の試験およびクラスター試験)。

データ収集と分析: 

2名のレビューアが、別々に適格性、質、及び抽出したデータを評価した。

主な結果: 

女性883名を対象とした1件の研究を選択した。

超音波検査による入院時羊水指数(AFI)測定の実施と未実施との比較が行われていた。介入群における胎児機能不全による帝王切開率(447例中29例)は、コントロール群(436例中14例)と比較して有意に高かった[リスク比(RR)2.02、95%信頼区間(CI)1.08~3.77]。

介入群における5分後のアプガールスコアが7未満の発生率(447例中10例)は、コントロール群(436例中7例)と比較して有意差は認められなかった(RR 1.39、95%CI 0.54~3.63)。

介入群における分娩促進のためのオキシトシン製剤の使用率(447例中213例)は、コントロール群(436例中132例)と比較して有意に高かった(RR 1.57、95%CI 1.32~1.87)。

介入群における新生児のNICU入院率(447例中35例)は、コントロール群(436例中33例)と比較して、有意差は認められなかった(RR 1.03、95%CI 0.66~1.63)。

訳注: 

《実施組織》松井絢子翻訳 増澤祐子監訳 [2017.1.3]
《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、コクラン日本支部までご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review、Updated reviewとも日単位で更新されています。最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。
《CD008410》

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