妊娠アウトカムを改善するための子宮-胎盤超音波ドプラ

著者の結論: 

本エビデンスは、高血圧性疾患のリスクが低い女性に、妊娠中期に子宮-胎盤超音波ドプラを用いた場合、母子のいずれに対しても利益を示さなかった。しかし、選択された研究がわずか2件であったので、このエビデンスを決定的な結論とみなすことはできない。妊娠初期あるいは高リスク女性を対象としたランダム化研究はない。子宮-胎盤超音波ドプラの使用が妊娠アウトカムを改善するか否かを検討するためには、より多くの研究が必要である。

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背景: 

胎盤形成障害はいくつかの最も重要な産科合併症(子癇前症や子宮内発育不全)を引き起こす可能性があり、胎児の罹病率および死亡率の上昇と関連づけられている。栄養膜血管の生理的変化を受けられないのは、子宮動脈レベルの血流に対するインピーダンスが高いことを反映している。波形指標やノッチングを用いた子宮-胎盤血管の超音波ドプラ検査は妊娠初期や中期の「リスク」妊婦を同定するのに役立ち、その結果、母子の罹病率および/または死亡率を低下させるために介入として用いられる可能性がある。

目的: 

高血圧性合併症リスクの高い妊婦とそのリスクの低い妊婦を対象に、妊娠初期と中期におけるルーチンの子宮-胎盤超音波ドプラが、妊娠アウトカムや産科診療に及ぼす影響を評価する。

検索戦略: 

Cochrane Pregnancy and Childbirth Group's Trials Register(2010年6月)と同定した研究の文献リストを検索した。

選択基準: 

妊娠初期と中期における子宮-胎盤血管波形を調べるための超音波ドプラについて、超音波ドプラを行なわない場合と比較したランダム化比較試験および準ランダム化比較試験。子宮血管が胎児血管や臍帯血管と一緒に評価された研究を除外した。

データ収集と分析: 

2人のレビューアが独自に研究を選択すべきかどうか評価し、バイアスのリスクを評価し、データ抽出を行った。データ入力をチェックした。

主な結果: 

4993例の参加者を対象に含む2件の研究を見いだした。これらの試験の方法論的質は良好であった。両研究とも高血圧性疾患リスクの低い女性を組み入れ、子宮動脈の超音波ドプラを妊娠中期に実施した。いずれの研究においても子宮動脈の病理的所見が見つかった後、低用量アスピリンが投与された。短期の母子臨床的アウトカムに差を認めなかった。妊娠初期、あるいは、高血圧性疾患のリスクが高い女性において、子宮-胎盤血管を評価しているランダム化研究を同定しなかった。

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