さまざまな慢性疾患の治療における抗酸化物質サプリメントPycnogenol®の使用

Pycnogenol®はフランス海岸松樹皮から抽出したハーブ系栄養補助食品で、主成分はプロシアニジンである。プロシアニジンは強力な抗酸化物質で、ぶどう、ベリー類、ザクロ、赤ワイン、ナッツ類などの食品に含まれている。プロシアニジンを含むサプリメントは、健康増進や、慢性疾患の予防や治療の目的で、世界中で販売されてる。この論拠は、抗酸化物質が活性酸素種(ROS:「フリーラジカル」と呼ばれることが多い)を中和すること。ROSは、重要な身体の機能に作用するだけでなく、過剰量が存在すると細胞や組織に損傷を引き起こすことがある。市販されているサプリメントは、プロシアニジンの原料や質、および含有する他の成分の数や種類が異なる。Pycnogenol®は標準化された製品であるため、これに注目した。多くの試験が実施されており、国際的に広く販売されている。本レビューでは、慢性疾患の治療法として、Pycnogenol®の有効性と安全性を評価することを目的とした。合計791例を対象として、以下の7つの異なる慢性疾患を評価した15件の適格なランダム化比較試験(RCT)を同定した。喘息(2件の研究)、注意欠陥多動性障害(1件)、慢性静脈不全(2件)、糖尿病(4件)、勃起障害(1件)、高血圧(2件)、および変形性関節炎(3件)。サンプル・サイズが小さく、疾患ごとの試験数が限られており、評価したアウトカムや用いたアウトカム指標が異なり、さらに選択した研究にバイアスのリスクがあるため、Pycnogenol®の有効性や安全性について確定的な結論を出すのは不可能である。

著者の結論: 

慢性疾患の治療に対するPycnogenol®の使用を支持するには、現在のエビデンスは不十分である。本治療法の価値を証明するには、適切にデザインされ十分な検出力のある試験が必要である。

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背景: 

酸化ストレスは、癌、関節障害、心血管疾患など多くの疾患の発症に関与している。Pycnogenol®はフランス海岸松樹皮抽出物に由来するハーブ系栄養補助食品で、強力な抗酸化物質であるプロシアニジンを70%含有するよう標準化されている。Pycnogenol®は、さまざまな慢性疾患の予防や治療に用いるサプリメントとして市販されている。

目的: 

慢性疾患の治療に対するPycnogenol®の有効性と安全性を評価すること。

検索方法: 

CENTRAL(2010年9月18日まで)、MEDLINE(2010年9月18日まで)、EMBASE(2010年10月13日まで)、および3件の試験登録を検索した。また、Pycnogenol®のメーカーに連絡を取り、選択した研究の参考文献リストをハンドサーチした。

選択基準: 

慢性疾患を有する成人または小児を対象として、Pycnogenol®の有効性を評価したランダム化比較試験(RCT)を選択した。主要アウトカムとして、疾患に直接関連する臨床アウトカム、および全死因死亡率を評価した(疾患は参加者および試験責任医師の報告に基づいて層別化した)。また、有害事象と酸化ストレスのバイオマーカーについても評価した。

データ収集と分析: 

2名の著者が独立して試験の適格性を評価し、あらゆるデータを抽出し、バイアスのリスクを評価した。3人目の著者がアウトカムと結果に関する情報を追加抽出した。3つの例外を除き、これらの研究のアウトカムに関する結果を統合できなかった。

主な結果: 

本レビューでは、合計791例を対象として、7つの異なる慢性疾患の治療についてPycnogenol®を評価した15件の試験を選択した。これらは、喘息(2件の研究;N = 86)、注意欠陥多動性障害(1件;N = 61)、慢性静脈不全(2件;N = 60)、糖尿病(4件;N = 201)、勃起障害(1件;N = 21)、高血圧(2件;N = 69)、および変形性関節炎(3件;N = 293)を対象とした研究であった。このうち2件の研究は小児を対象として実施され、その他の研究は成人を対象としたものであった。

サンプル・サイズが小さく、疾患ごとの試験数が限られており、評価したアウトカムや用いたアウトカム指標が異なり、さらに選択した研究にバイアスのリスクがあるため、Pycnogenol®の有効性や 安全性について確定的な結論を出すのは不可能である。

訳注: 

《実施組織》厚生労働省「「統合医療」に係る情報発信等推進事業」(eJIM:http://www.ejim.ncgg.go.jp/)[2016.1.6]
《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、eJIM事務局までご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。eJIMでは最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。

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