慢性腰痛に対する脊椎手技療法

著者の結論: 

質の高いエビデンスにより、SMTとその他の介入では、慢性腰痛患者における疼痛軽減および機能改善について、臨床的に関連性のある差はないことが示唆されている。介護の費用対効果の判定が最優先である。今後の研究は、不活性の介入、偽SMT、および回復に関するデータに関して、我々が確信している効果の推定値に重要な影響を及ぼすと考えられる。

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背景: 

腰痛には多くの治療法が存在するが、脊椎手技療法(SMT)は世界で広く実施されている介入である。

目的: 

慢性腰痛に対するSMTの効果を評価すること。

検索方法: 

経験豊富な司書がCENTRAL(コクラン・ライブラリ 2009年、Issue 2)、MEDLINE、EMBASE、CINAHL、PEDro、およびIndex to Chiropractic Literatureのランダム化比較試験(RCT)の検索を2009年6月まで更新した。

選択基準: 

慢性腰痛のある成人を対象に脊椎マニピュレーションまたはモビライゼーションの有効性を評価したRCTを選択した。疼痛の状況や種類に制約はかけず、また、坐骨神経痛のみを対象とした研究は除外した。主要アウトカムは疼痛、機能状態、および自覚的回復度で、副次アウトカムは職場復帰および生活の質であった。

データ収集と分析: 

2名のレビューアが別々に研究の選択、バイアスのリスク評価、およびデータの抽出を実施した。エビデンスの質の評価には、GRADEシステムを用いた。可能な場合、メタアナリシスについて感度解析および異質性の調査を実施した。

主な結果: 

26例のRCTを選択した(合計参加者6,070例)、そのうち9例はバイアスのリスクが低かった。選択した研究の約3分の2(18例)は前回のレビューで評価されていなかった。概して、SMTはその他の介入と比較して、疼痛軽減(MD -4.16、95%CI -6.97~-1.36)および機能状態(SMD -0.22、95%CI -0.36~-0.07)について、統計学的に有意ではあるが臨床的な関連性のない、短期的かつ小さな効果があるという質の高いエビデンスがある。感度解析により、これらの結果の頑強性が確認された。SMTをその他の介入に追加した場合、疼痛軽減および機能状態について、統計学的に有意な、短期的効果があるというエビデンスは、質にばらつきがある(低から高に及ぶ)。SMTは不活性の介入または偽SMTと比較して、短期的疼痛軽減または機能状態について、統計学的に有意な有効性はないという非常に質の低いエビデンスがある。回復、職場復帰、生活の質、および介護費用に関するデータは特にわずかであった。SMTでは重篤な合併症は認められなかった。

訳注: 

監  訳: 内藤 徹,2011.10.4

実施組織: 厚生労働省委託事業によりMindsが実施した。

ご注意 : この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、Minds事務局までご連絡ください。Mindsでは最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、編集作業に伴うタイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。

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