1型糖尿病に対する持続血糖測定システム

著者の結論: 

小児、成人ならびに糖尿病コントロール不良の患者においてリアルタイム持続血糖測定(CGM)を利用した場合の有効性についてはエビデンスが少ない。これまでにインスリンポンプを使用したことがない糖尿病コントロール不良患者におけるセンサー付きのインスリンポンプ療法では、血糖コントロールに最も大きな改善がみられた。CGM使用者では重度低血糖およびケトアシドーシスのリスクが有意に上昇することはなかったが、これらのイベントの発生は稀であり、結果は注意して解釈する必要がある。CGM機器を装着することのコンプライアンスが高いほど、糖化ヘモグロビンA1c値(HbA1c)が大きく改善されることが示された。

アブストラクト全文を閲覧
背景: 

1型糖尿病の最適な血糖コントロールには自己血糖測定が不可欠である。持続血糖測定(CGM)システムで間質液のブドウ糖濃度を測定することにより、ブドウ糖レベルに関する半持続的な情報が得られ、従来の自己測定では確認されなかった血糖値の変動を確認することができる。2種類のCGMシステムを定義することができる。すなわち、結果が遅れて表示される(retrospective)システムとリアルタイムシステムである。リアルタイムシステムはディスプレー上に実際のブドウ糖濃度を連続して表示できる。今のところ、CGMは一般的な方法ではなく、その診療報酬の状況が多くの国々で論点となっている。

目的: 

1型糖尿病患者においてCGMシステムの効果を従来の自己血糖測定(SMBG)と比較して評価すること。

検索戦略: 

コクラン・ライブラリ、MEDLINE、 EMBASEおよびCINAHL を検索して研究を同定した。最終検索日は2011年6月8日であった。

選択基準: 

1型糖尿病患者で、結果が遅れて表示される(retrospective)システムまたはリアルタイムシステムのCGMを従来の自己血糖測定または別のCGMシステムと比較したランダム化比較試験(RCT)。主要アウトカムは糖化ヘモグロビンA1c(HbA1c)値などの血糖コントロールおよび健康関連の生活の質であった。副次的アウトカムは有害事象および合併症、CGMによる血糖コントロール、死亡および医療費であった。

データ収集と分析: 

レビューア2名が独立して研究を選択し、バイアスのリスクを評価し、データの抽出を行った。研究間で臨床的および方法論的な異質性があったものの、臨床的利点を損なうことなく統合できるとレビューアが感じたこれらのアウトカムについて、探索的なメタアナリシスを実施した。

主な結果: 

検索の結果、参考文献1,366件を同定した。また、本レビューの選択基準に適合するランダム化比較試験22件を同定した。メタアナリシス(全年齢群)の結果から、CGMセンサー付きインスリンポンプによる治療を開始した患者では、毎日複数回のインスリン注射(MDI)と標準的な血糖測定(SMBG)を利用する患者と比較して、CGMによる有益性が示された。6カ月後、インスリンポンプ療法を開始したリアルタイムCGM使用者は、MDIおよびSMBGを利用する患者と比較して、HbA1c値の大幅な低下が有意にみられた[HbA1c値の変化の平均差(MD)-0.7%、95%信頼区間(CI)-0.8%~-0.5%、RCT2件、患者562例、I2=84%)。低血糖リスクはCGM使用者の方が高かったが、信頼区間は広く、1も含まれた(4/43例に対して1/35例;RR 3.26;95%CI 0.38~27.82ならびに21/247例に対して17例/248;RR 1.24、95%CI 0.67~2.29)。研究1件では、ベースラインから6カ月目までにケトアシドーシスの発生が報告されたが、わずか1件であった。両ランダム化比較試験とも糖尿病コントロール不良患者が対象であった。CGMのみを開始した患者では、ベースライン後6カ月目までのHbA1c値低下の平均値が、SMBG使用者より統計学的に有意に大きくみられたが、インスリンポンプとCGMの利用を同時に開始した患者よりずっと小さかった(HbA1c値の変化のMD -0.2%、95%CI -0.4%~-0.1%、ランダム化比較試験6件、患者963例、I2=55%)。平均して、CGMとSMBG使用者との間で重度低血糖およびケトアシドーシスのリスクに有意差はなかった。しかし、信頼区間は広く、対照群と比較してCGM使用者ではリスクの低下のほか上昇も含まれた(重度低血糖:36/411例に対して33/407例;RR 1.02、95%CI 0.65~1.62、ランダム化比較試験 4件、I2=0%およびケトアシドーシス:8/411例に対して8/407例;RR 0.94、95%CI 0.36~2.40、ランダム化比較試験4件、I2=0%)。健康関連の生活の質は研究22件中5件で報告された。これらの研究のうち、CGMとSMBGとの間に有意差がみられた研究はなかった。糖尿病性合併症、死亡および医療費は評価しなかった。1型糖尿病の妊婦および無自覚性低血糖の患者を対象とした研究はなかった。

訳注: 

監  訳: 曽根 正好,2012.4.25

実施組織: 厚生労働省委託事業によりMindsが実施した。

ご注意 : この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、Minds事務局までご連絡ください。Mindsでは最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、編集作業に伴うタイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。

Tools
Information
シェア/保存する