冠動脈疾患患者におけるうつ病に対する心理的介入および薬物的介入

著者の結論: 

心理的介入およびSSRIによる薬物的介入は、CAD患者のうつ病アウトカムに対し、若干ではあるが臨床的に意味のある効果がみられる。死亡率および心イベントの減少に対し有益な効果は認められなかった。しかし、全体として、アウトカムごとにみた場合の高品質の試験は少数で、検討した集団と介入の異質性のため、エビデンスは乏しい。

アブストラクト全文を閲覧
背景: 

冠動脈疾患患者(CAD)にはうつ病が発症することが多く、うつ病は予後不良と関連している。

目的: 

うつ病併発のCAD患者に対する心理的介入および薬物的介入の効果を検討すること。

検索戦略: 

コクラン・ライブラリ上のCENTRAL、DARE、HTA、EED、およびMEDLINE、EMBASE、PsycINFO、CINAHL、ISRCTN Register 、CardioSource Registryを検索した。選択したランダム化比較試験(RCT)の参考文献リストを検索し原著者らに連絡を取った。言語による制約は設けなかった。

選択基準: 

うつ病併発のCAD成人患者を対象にうつ病に対する心理的介入および薬物的介入を検討したRCTを選択対象とした。 主要アウトカムはうつ病、死亡率および心イベントであった。二次アウトカムは医療費および健康関連生活の質(QOL)であった。

データ収集と分析: 

2名のレビューアが同定した論文の選択について別々に評価し、選択した研究からデータを抽出した。ランダム効果モデルメタアナリシスを実施し、治療アウトカムの総推定値を算定した。

主な結果: 

データベース検索により3,253件の参考文献を同定した。16件の試験が選択基準を満たした。心理的介入は通常の治療に比べて、うつ病に対し若干有益な効果を示した(試験および時間枠間のうつ病スコアのSMD範囲、-0.81~0.12)。アウトカムごとにみた1件の試験に基づくと、QOLの心理社会的次元を除き、死亡率、心イベント、心血管系入院およびQOLに対する有益な効果は認められなかった。さらに、様々な心理的アプローチの間に、治療アウトカムに対する差は認められなかった。本レビューでは、うつ病アウトカムに対し、プラセボに比べて選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)による薬物的介入の方が若干の有益な効果があるというエビデンスが得られた[うつ病の短期変化スコアの統合SMD、-0.24 (-0.38~-0.09);うつ病短期寛解の統合OR、1.80 (1.18~2.74)]。アウトカムごとにみた1~3件の試験に基づくと、死亡率、心イベントおよびQOLについて有益な効果は認められなかった。薬物的介入の試験は、プラセボに比べて、入院率[3件の試験の統合OR、0.58(0.39~0.85)]および救急処置室受診[1件の試験のOR、0.58(0.34~1.00)]が低下した。1件の試験では、うつ病アウトカムについて、ノルトリプチリン(TCA)に対しパロキセチン(SSRI)の方が効果が優れているというエビデンスは認められなかった。

訳注: 

監  訳: 澤村 匡史,2011.12.15

実施組織: 厚生労働省委託事業によりMindsが実施した。

ご注意 : この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、Minds事務局までご連絡ください。Mindsでは最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、編集作業に伴うタイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。

Tools
Information
シェア/保存する