妊娠中の無症候性細菌尿の治療に対する様々な抗菌治療プログラム

著者の結論: 

妊娠中の無症候性細菌尿の初期治療に対する最も有効かつ安全な抗菌レジメンに関して決定的な結論を導くことはできない。1件の研究は、ニトロフラントインのより長期の投与が優れていることを示し、もう1件の研究はアンピシリンでピブメシリナムよりも忍容性に優れていることを示した:その他の点では、異なる抗菌薬により治療された群の間で有意差は認められなかった。このように決定的なエビデンスがないことを考慮すると、臨床医は最良の治療選択肢を選択するに際して、費用、地方の入手可能性、副作用などの要因を考慮することが役立つと思われる。

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背景: 

無症候性細菌尿は妊娠の5~10%で起こり、無治療のままにしておくと重篤な合併症につながる可能性がある。

目的: 

妊娠中の無症候性細菌尿に対する初期治療として、最も有効性がある抗菌薬と、最も有害性が低い抗菌薬を評価する。

検索戦略: 

Cochrane Pregnancy and Childbirth Group's Trials Register(2010年3月)および同定した研究の文献リストを検索した。

選択基準: 

無症候性細菌尿の治療のための2つの抗菌レジメンを比較しているランダム化比較試験。

データ収集と分析: 

複数のレビューアが独自に研究を適格か否か選別し、データを抽出した。

主な結果: 

無症候性細菌尿のある女性1140例を対象に含む5件の研究を選択した。メタアナリシスは行わなかった;各々の試験が様々な抗菌レジメンを検討したため、結果を統合できなかった。ホスホマイシントロメタモール3g単回投与とセフロキシム5日投与を比較している研究において、持続性感染(リスク比(RR)1.36、95%信頼区間(CI)0.24~7.75)、他の抗菌薬へ変更(RR 0.08、95%CI 0.00~1.45)、またはアレルギーや掻痒(RR 2.73、95%CI 0.11~65.24)に有意差はなかった。ピブメシリナム400mgとアンピシリン500mgの7日間投与(両剤とも1日4回投与)の比較は2週間時点における持続性感染や再発性感染に有意差を示さなかったが、ピブメシリナムで嘔吐が多く(RR 4.57、95%CI 1.40~14.90)、治療を早期に中止する可能性が高かった(RR 8.82、95%CI 1.16~66.95)。セファレキシン1gとMiraxid®(ピブメシリナム200mgとピバンピシリン250mg)を1日2回3日間投与した場合、持続性あるいは再発性の感染症に有意差はなかった。ニトロフラントイン1日投与と7日投与の比較では、1日投与で持続性感染症がより多かったが(RR 1.76、95%CI 1.29~2.40)、2週間時点における症候性感染症、悪心、あるいは早産に有意差はなかった。シクロセリンとスルファジミジンを比較した場合、症候性、持続性あるいは再発性の感染症に有意差は認められなかった。

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