卵巣癌における腸閉塞に対する姑息的手術と内科的治療の比較

著者の結論: 

卵巣癌における腸閉塞に対する姑息的手術と内科的治療を比較したものでは質の低いエビデンスしか見出せなかった。それゆえ、この2つのタイプの治療法がもたらす相対的な利益と有害性について明確な結論に達することもできず、あるいは、片一方(もしくはもう一方)の治療法で利益を受ける可能性の高いサブグループの女性を同定することもできなかった。しかし、生存期間を延長するのに外科的治療が良いとする弱いエビデンスがある。

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背景: 

卵巣癌は女性では6番目に多い癌であり、進行期に診断されることが多い。進行性あるいは再発性の卵巣癌で共通してみられるのが腸閉塞である。腸閉塞のある患者は概して全身状態が悪いため、平均余命は限られている。それゆえ、症状をうまく抑えることによりQOLを保つことが腸閉塞治療の主要目的である。

目的: 

卵巣癌の女性を対象として、腸閉塞に対する姑息的手術(癌の根治的切除ができない場合に、癌の抑制、症状の軽減、QOL改善を目的として施行される手術)と内科的治療の有効性と安全性を比較する。

検索戦略: 

Cochrane Gynaecological Cancer Group Trials Register、Cochrane Central Register of Controlled trials(CENTRAL)2009年第1号、MEDLINE、EMBASEを2009年2月まで検索した。臨床試験登録、学会の抄録、選択した研究の参考文献リストも検索し、当該分野の専門家に連絡を取った。

選択基準: 

卵巣癌と診断された成人女性で、腸の完全閉塞又は部分閉塞を有する患者を対象として、姑息的手術と内科的介入を比較した研究。ベースラインの患者振り分け(case mix)に対して多変量解析で統計上の調整を行ったランダム化比較試験(RCT)と非RCTを適格とした。

データ収集と分析: 

2人のレビューアが独自に、関連すると思われる研究が選択基準を満たしているか評価を行い、データを抽出し、バイアスのリスクを評価した。同定できたのは1件の非ランダム化研究しかなく、メタアナリシスは行わなかった。

主な結果: 

検索の結果、183件の別個の参考文献が同定され、うち22件が標題と抄録に基づいて適格かもしれないと同定された。1件の研究のみが我々の選択基準を満たし、本レビューに組み入れられた。その研究は、姑息的手術(n=27)またはオクトレオチドによる内科的治療(n=20)のいずれかを受けた47例の女性の後ろ向きのデータを解析し、総生存期間、周術期死亡率および罹患率を報告した。全身状態不良の女性は手術から除外された。手術群の6例の女性(22%)に重篤な手術合併症が生じ、3例(11%)が合併症のために死亡したのであるが、多変量解析によれば、重要な予後因子について調整後、オクトレオチド群におけるよりも、手術群において生存率が有意に良好であった(p<0.001)。ただし、この効果の大きさについて報告はなかった。QOLについても報告されず、有害事象の記載は不十分であった。

訳注: 

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