子宮線維腫に対するミフェプリストン

子宮線維腫は、子宮平滑筋腫、子宮筋腫、子宮線維筋腫としても知られている子宮の非癌性良性増殖である。線維腫は女性で最もよくみられる良性腫瘍で、通常、妊娠可能な年齢の中期から後期に認められる。よくみられる症状は、多量の出血、月経痛、下腹部の圧迫感、不妊、流産などである。線維腫は、筋腫核出術(子宮を残して線維腫を除去する)または子宮全摘術(子宮を除去する)のいずれかを用いる手術により治療する。ミフェプリストンなどの薬物治療が選択肢として提案されてきた。本レビューでは、ミフェプリストンを投与された子宮線維腫女性患者112名の3件の試験を選択した。これらの臨床試験の参加者数は少なく、方法論的質には限界があった。本レビューに含まれた研究では、ミフェプリストンに出血を軽減する中等度の効果があり、線維腫特異的な生活の質が改善することが示された。子宮線維腫容積に対するミフェプリストンの効果を判定するには、臨床使用でのミフェプリストンについて信頼性のある結論が出せるさらに大規模な試験が必要である。

著者の結論: 

ミフェプリストンにより、多量の月経出血が軽減し線維腫特異的な生活の質が改善した。しかし、線維腫の容積の減少は認められなかった。子宮線維腫の治療にミフェプリストンを用いるとの推奨を行う前に、適切なデザインで十分な検出力を有するさらなるRCTが必要である。

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背景: 

子宮線維腫(子宮筋腫)は、妊娠可能な年齢の女性で最もよくみられる良性の子宮腫瘍である。ミフェプリストン(RU-486)はプロゲステロン受容体に競合的に結合し阻害する。研究によると、線維腫の増殖は性ステロイドに依存することが示唆されている。ミフェプリストンは線維腫の大きさを縮小すると示されてきた。本レビューでは、ランダム化比較試験(RCT)で報告された、線維腫に対するミフェプリストンの治療効果と関連する有害作用について要約した。

目的: 

閉経前女性での子宮線維腫治療に対するミフェプリストンの有効性および安全性を検討すること。

検索戦略: 

Cochrane Menstrual Disorders and Subfertility (Cochrane Menstrual Disorders and subfertility Review Group)の特別登録リスト、Cochrane Central Register of Controlled Trials (CENTRAL) (コクラン・ライブラリ2011年第4号)、MEDLINE、EMBASE、PsycINFO、CINAHL(2011年11月まで)を検索した。多数の雑誌をハンドサーチし、参考文献リスト、進行中の試験データベース、インターネットを検索した。言語の制限は設けなかった。

選択基準: 

子宮線維腫と確認されている閉経前女性を対象に、ミフェプリストンを他の薬物療法またはプラセボと比較した真のRCTのみを選択した。

データ収集と分析: 

4名のレビューアが別々にデータを抽出し試験の質を評価した。二値データにはPetoオッズ比(OR)を、連続データには重み付け平均差を用いて、それらの95%信頼区間(CI)とともにデータを解析した。固定効果モデルを用いてメタアナリシスを実施した。

主な結果: 

参加者112名となる3件の試験を選択した。比較介入は、異なる用量のミフェプリストン、プラセボ、およびビタミンB錠であった。プラセボに比べて、ミフェプリストン投与により多量の月経出血が軽減されたというエビデンスを認めた(Peto OR 17.84、95%CI 6.72~47.38、2件のRCT、女性77名、I2 = 0%)。3件の研究(Bagaria 2009、Engman 2009、Fiscella 2006)をこの比較のメタアナリシスに組み入れた。 線維腫容積に対するミフェプリストンの効果についてエビデンスはなかった[標準化平均差(SMD)-0.02、95%CI -0.38~0.41、女性99名]。2件の研究(Bagaria 2009、Fiscella 2006)をこの比較のメタアナリシスに組み入れた。 子宮容積に対するミフェプリストンの効果についてエビデンスを認めなかった[平均差(MD)-77.24、95%CI -240.62~86.14、女性72名]。プールしたデータでは、プラセボに比べてミフェプリストン群での有害事象(子宮内膜の異常な組織所見)の増加が示唆された(OR 31.65、95%CI 4.83~207.35、2件のRCT、女性54名、I2 = 0%)。治療終了時の子宮内膜増殖症を報告したのは1件の研究(Bagaria 2009)のみであった(ミフェプリストン群19名中12名、プラセボ群16名中0名、OR 55.0、95%CI 2.86~105.67)。 Engman(2009)は、プラセボ群(生検施行女性11名中1名)に比べてミフェプリストン群女性(生検施行女性8名中5名)において有意に高率な嚢胞性(子宮内膜)腺拡張を認めた(OR 16.67、95%CI 1.36~204.03)。1件の研究(Fiscella 2006)では、生活の質の特定のアウトカムについて有意な改善(P < 0.001)が示唆された。

訳注: 

《実施組織》Minds 大神英一監訳[2012.12.27]
《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、コクラン日本支部までご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review、Updated reviewとも日単位で更新されています。最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。
《CD007687》

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