更年期障害に対するブラック・コホッシュ(サラシナショウマ)

更年期とは、女性の人生において月経が終了する時期である。月経に関する変化は、ホットフラッシュ、膣乾燥症、寝汗などの厄介な症状を伴うことが多い。このような更年期障害の重症度や頻度を減少させる介入は、その人の健康や生活の質を改善する可能性が高い。薬草のブラック・コホッシュはアメリカ先住民が伝統的に月経不順の治療に用いていたが、多数の実験的研究によって更年期に対してブラック・コホッシュを利用できる可能性が示されている。このレビューの目的は、更年期障害の管理に対するブラック・コホッシュの有効性を評価することであった。16件の研究のレビュー(参加者2027人)からは、更年期障害に対するブラック・コホッシュの利用に関する十分なエビデンスは得られなかった。このレビューで対象とした研究の多くはその質が不明であったため、更年期障害に対するブラック・コホッシュの有効性を検証する研究がさらに必要である。このような試験では、他の重要なアウトカム(生活の質、骨の健康、寝汗、費用対効果など)の採用、厳密な研究デザインおよび研究方法の報告の質に対して十分留意する必要がある。

著者の結論: 

現時点では更年期障害に対するブラック・コホッシュの使用を支持する十分なエビデンスは得られていない。一方で、この分野の研究をさらに実施すべき十分な理由が存在する。同定した質の不明な試験は、研究方法、特に割り付けの隠蔵化および不完全なアウトカムデータの処理に関する研究報告を改善する必要があることを強調している。健康に関連した生活の質、性的能力、骨の健康、寝汗および費用対効果など、その他の重要なアウトカムに対するブラック・コホッシュの効果についてもさらに検証が必要である。

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背景: 

更年期は多くの女性にとって苦痛や大きな混乱を伴う時期となり得る。多くの女性がホットフラッシュ、寝汗、膣の萎縮や乾燥を経験する。また、閉経後の女性は骨粗しょう症のリスクが上昇する。これらの更年期症状の重症度および頻度を低下させる介入は、女性の健康状態および生活の質を改善する可能性が高い。ホルモン療法は更年期症状の管理に有効であることが示されているが、本療法は多くの重篤な有害作用を引き起こす可能性がある。実験的研究から得られたエビデンスは、ブラック・コホッシュが更年期障害に対する生物学的に妥当な代替療法である可能性を示唆している。とはいえ、現時点では、ブラック・コホッシュの臨床的有効性を検証した研究結果に一貫性は認められない。

目的: 

閉経期および閉経後の女性を対象に、更年期障害の治療に対するブラック・コホッシュ(Cimicifuga racemosaoまたはActaea racemosa)の臨床的有効性および安全性を評価すること。

検索方法: 

AARP Ageline、AMED、AMI、BioMed Central gateway、CAM on PubMed、CINAHL、CENTRAL、EMBASE、Health Source Nursing/Academic edition、International Pharmaceutical Abstracts、MEDLINE、Natural medicines comprehensive database、PsycINFO、TRIP database、臨床試験登録データベースおよび対象試験の参考文献リストから2012年3月までの関連研究を同定した。研究内容の専門家およびブラック・コホッシュ抽出物製造業者に問い合わせを行った。

選択基準: 

閉経期および閉経後の女性を対象に、ブラック・コホッシュ単一製剤経口投与とプラセボまたは実薬を比較したすべてのランダム化比較試験。

データ収集と分析: 

2名のレビュー著者が独立して試験を選出し、データを抽出し、「バイアスのリスク」評価を完了した。不足情報について研究著者に問い合わせた。

主な結果: 

閉経期および閉経後の女性計2027例を募集した16件のランダム化比較試験を同定した。いずれの研究でもブラック・コホッシュ単一製剤を経口投与し、1日用量中央値は40 mg、平均投与期間は23週間であった。対照介入はプラセボ、ホルモン療法、レッドクローバーおよびフルオキセチンであった。報告されたアウトカムは血管運動神経症状、外陰膣症状、更年期障害スコア、有害作用などであった。ブラック・コホッシュとプラセボの間でホットフラッシュの頻度(平均差[MD]0.07回/日、95%信頼区間[CI]-0.43〜0.56回/日、P = 0.79、参加者393例、試験数3件、中等度の異質性、I2 = 47%)および更年期障害スコア(標準化平均差[SMD]-0.10、95%CI -0.32〜0.11、P = 0.34、参加者357例、試験数4件、低い異質性、I2 = 21%)に有意差は認められなかった。ホルモン療法は、ブラック・コホッシュと比較して1日あたりのホットフラッシュの回数(試験数3件、データは統合せず)および更年期障害スコア(SMD 0.32、95% CI 0.13〜0.51、P = 0.0009、参加者468例、試験数5件、きわめて高い異質性、I2 = 69%)を有意に低下させた。研究間に異質性が認められるため、これらの知見は慎重に解釈すべきである。 ブラック・コホッシュと他の介入の有効性を比較した結果、結論に達しない(きわめて高い異質性または研究数の不足が原因)かまたは統計学的有意差が認められなかった。同様に、研究報告の質が劣っているため、ブラック・コホッシュの安全性に関する決定的なエビデンスは得られなかった。データが不足していたため、健康に関連した生活の質、性的能力、骨の健康、外陰膣萎縮症および寝汗に関する結果を統合できなかった。いずれの試験でも費用対効果に関するデータは報告されていなかった。研究報告が不十分であったため、対象試験の質は概して不明であった。

訳注: 

《実施組織》厚生労働省「「統合医療」に係る情報発信等推進事業」(eJIM:http://www.ejim.ncgg.go.jp/)[2016.1.2]
《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、eJIM事務局までご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。eJIMでは最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。

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