ホルモテロール連日投与により、プラセボまたはサルブタモール連日投与に比べて重篤な有害事象が増加するか。

喘息とは気道(空気が出入りする肺への細い管)が侵される一般的な病気である。喘息の人が刺激物(喘息のきっかけ)と接触すると、気道の壁の周りの筋肉が締まり、気道が狭くなり気道の内側に炎症が起こり腫脹する。そのため、笛声音、咳嗽および呼吸困難などの喘息症状が起こる。喘息発作すなわち増悪が起こりうる。基礎に肺の炎症を有しており、濃い粘液や痰が溜まってさらに気道が狭くなる。喘息は治癒しないが、大半の人で喘息をコントロールすることが可能な薬剤があるため、日常生活を続けることができる。 ホルモテロールなどの長時間作用型β2刺激薬は、喘息発作中に起こる気道の狭小化を回復させるように働く。吸入器で使用するこれらの薬剤は、肺機能、症状、生活の質を改善し喘息発作回数を減少することが知られている。しかし、特に基礎にある炎症をコントロールする吸入ステロイドを使用していない人では、長時間作用型β2刺激薬の安全性について懸念がある。本レビューでは、ホルモテロール連日投与の人の安全性を、プラセボまたは短時間作用型β2刺激薬のサルブタモール投与の人と比較して検討することを目的とした。 プラセボまたはサルブタモールに比べて、ホルモテロール投与中に死亡した人数に統計学的有意差はなかった。喘息で死亡した人はほとんどいなかったため、喘息による死亡率における差を検出するには、より大規模な試験または観察研究が通常必要である。プラセボに比較してホルモテロール投与の人で非致死的な有害事象が多く、16週間ホルモテロール投与の149名につき1件の非致死的イベントがプラセボに比べて多く発現した。サルブタモール定期投与に比べホルモテロール投与の人において重篤な有害事象に有意差はなかった。 定期吸入ステロイド使用者でない場合、重篤な有害事象リスクの増加のためホルモテロールの定期投与を受けるべきではないと結論した。ホルモテロールを吸入ステロイドの代替として用いるべきではなく、吸入ステロイドにホルモテロールを追加する場合、別々の吸入器を使用しているかどうか、吸入ステロイドの遵守について継続して評価すべきである。

著者の結論: 

プラセボに比べホルモテロール定期投与により重篤な有害事象の増加が認められ、これは吸入ステロイド使用患者においても同様であった。小児における定期ホルモテロールの重篤有害事象への影響は、成人よりも大であったが年齢群間の差は有意ではなかった。

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背景: 

疫学的エビデンスにより、β2刺激薬と喘息死亡率の増加との関連が示唆されている。この関連について可能性のある因果関係および長時間作用型β2刺激薬の定期(連日)投与の安全性に関して多くの議論がなされてきた。

目的: 

本レビューの目的は、慢性喘息患者を対象に、ホルモテロール定期投与をプラセボまたは短時間作用型β2刺激薬定期投与と比較したランダム化試験における、致死的または非致死的重篤な有害事象リスクを評価することである。

検索戦略: 

Cochrane Airways Group Specialised Register of trialsを用いて試験を同定した。ホルモテロール関連の未発表の試験データについて、臨床試験登録のウェブサイトおよびFDA提出書類をチェックした。最新検索日は2012年1月であった。

選択基準: 

患者の年齢および喘息重症度を問わず、ホルモテロール定期投与に患者をランダム化し12週間以上の試験期間の並行デザイン比較臨床試験を選択した。吸入副腎皮質ステロイド(薬)(以下、ステロイド)は、ランダム化治療レジメンの一部でない場合に限り併用を許可した。

データ収集と分析: 

2名のレビューアが別々に本レビューの組み入れについて試験を選択した。1名のレビューアがアウトカムデータを抽出し2番目のレビューアがそれをチェックした。死亡率および重篤な有害事象に関する未発表データを検索した。

主な結果: 

ホルモテロールの定期投与をプラセボまたはサルブタモールの定期投与と比較している22件の研究(参加者8,032名)を本レビューに選択した。ホルモテロールをプラセボと比較している発表研究からすべての参加者について非致死的な重篤有害事象データが得られたが、ホルモテロールをサルブタモールまたはテルブタリンと比較している発表研究では80%のみであった。 ホルモテロール定期投与で3件の死亡があり、プラセボではみられなかったが、この差は統計学的に有意ではなかった。死亡数が少なかったため疾患特異的死亡率を評価することはできなかった。定期ホルモテロールをプラセボと比較した場合、非致死的な重篤有害事象が有意に増加した[Peto オッズ比(OR)1.57、95%CI 1.06~2.31]。ホルモテロール定期投与を受けた149名ごとに1件多く重篤な有害事象が16週間中に発現した(95%CI 66~1,407人)。この増加は成人に比べて小児で大きかったが、年齢の影響は統計学的に有意ではなかった。FDAに提出されたデータでは、吸入ステロイドを併用していてもホルモテロール定期投与患者において、喘息関連の重篤な有害事象の増加が依然として有意であった。ホルモテロール定期投与をサルブタモールまたはテルブタリンと比較した場合、致死的または非致死的な重篤有害事象の有意な増加は認められなかった。

訳注: 

監  訳: 尹 忠秀,2012.8.29

実施組織: 厚生労働省委託事業によりMindsが実施した。

ご注意 : この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、Minds事務局までご連絡ください。Mindsでは最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、編集作業に伴うタイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。

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