直腸癌に対する前方切除術における保護的な回腸瘻または結腸瘻造設

著者の結論: 

直腸癌に対する低位前方切除術を受けている患者において、被覆ストーマは吻合部漏出や緊急再手術を予防するのに有用なようである。しかし、30日死亡率や長期死亡率に関しては利点を示さないようである。

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背景: 

吻合部漏出は直腸癌に対する外科的低位前方切除術の術後に生じる最も重要な合併症のひとつである。吻合部漏出は、罹患率や死亡率を高め、再手術やX線透視下ドレナージ の回数を増やし、入院期間を延長することが示されている。非機能的なストーマは直腸手術を受ける患者に有用である可能性がある。

目的: 

直腸癌に対する低位前方切除術における保護的非機能的ストーマの有効性を検討する。

検索戦略: 

検索を2009年11月に行った。Cochrane Central Register of Controlled Trials(CENTRAL)、MEDLINE(1966年から)、および、EMBASE(1980年から)を検索した。

選択基準: 

直腸癌に対する低位前方切除術を受けた患者を対象に、ストーマ使用と「ストーマ不使用」を比較しているランダム化臨床試験を選択した。

データ収集と分析: 

6件のランダム化比較試験を同定し、本レビューに組み入れた。5件の試験がピア・レビュー誌に完全な形で発表された。抄録の形式でのみ入手可能であった試験の著者から更なる情報を得ようと試みた。これらの研究は以下のアウトカムを解析した:臨床的吻合部漏出、緊急再手術、死亡率、術後入院期間。レビューアはデータを独自に抽出し、二値アウトカムに対してのリスク比(RR)および連続アウトカムに対しての標準化平均差を推定した。

主な結果: 

すべての試験で臨床的吻合部漏出、緊急再手術および死亡率に対する結果が報告された。2件の試験のみで、術後入院期間についての結果が報告された。コントロール群と比較して、保護的ストーマ使用により、吻合部漏出(RR 0.33;95%CI[0.21、0.53])および緊急再手術(RR 0.23;95%CI[0.12、0.42])が有意に減少した。死亡率に関して有意差はなかった(RR 0.58;95%CI[0.14、2.33])。あらゆる比較で統計学的な異質性のエビデンスはなかった。

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